先の睡魔実験は、少々慣れていないと、すぐにできるというわけではありませんので、もし興味がおありでしたら、何度か試されてください。

この実験から得られた重要な結果は、脳内の視床下部にある睡眠中枢を、マイクロバブルが刺激して睡眠活動を誘起するということでした。


さて、本日からは、別の神経刺激について述べることにしましょう。一度、マイクロバブル仲間のK3さんと一緒に山形県の蔵王温泉にいったことがあります。

ここは昔からの名湯であり、しかも日本では数少ない酸性温泉のひとつです。

この酸性温泉にはなかなか入る機会がなかったので、前々から楽しみにしていました。

夕方、この蔵王温泉について、そのまま懇親会に出席、まことに辛い日本酒を飲んで吃驚したことを思い出します。

翌朝、この名湯にゆっくり入りました。張り出された温泉の説明書によれば、この温泉の水素イオン濃度(pH)が1.5という強塩酸のお湯なので、最初は恐る恐る入りました。

しかし、身体が浸かっても、なんの自覚症状もなく、そのまま白色の湯に浸かり、あれこれ、思いを浮かべながら、その朝湯を楽しみました。

「pH1.5の強塩酸湯ですから、どうなることかと少々心配しましたが、なんともありませんでした。(K3さんは)いかがでしたか?」

どうやら、かれも何ともなかったとのことでした。

ーーー そうか、こんなものなのか!

こう思いながら、脱衣場の大きな鏡の前に来た時に、吃驚しました。なんと、体中が赤くなって、それこそ軽い火傷の後のようになっていました。

ーーー これは、いったい、どういうことなのか?

すぐには、よく理解できないことだったので、服を着て、そのまま朝食会場に行きました。

ところが、朝食を目の前にして、今度は、まったく食欲がわいてこなかったのです。対面のK1さんも、どうやら同じようで、すぐに朝食をいただくことには躊躇(ためら)っておられました。

「おかしいですね。いつもは、お腹がすいているころなのですが・・・・・」

そこで、しかたなく箸を取らずに、二人してお茶を飲みながら、しばらく談笑をしていました。

「昨夜の酒は、辛かったですね。あんな辛い酒を飲んだことがありません」

「東北の方にとっては、あの辛さが普通なのです。もっと辛い酒もありますよ」

「そうですか、あれが日本酒なのですね」

こんな話をしながら約30分が経過して、その満腹感がようやく薄れてきました。二人が朝食をためらったのは、この満腹感を覚えていたからでした。

「不思議ですねぇー。あの満腹感は、どこからやってきたのでしょうか」

何事にも、すぐに好奇心をいだいてしまう私は、目の前の朝食をいただきながら、そのことをひたすら考え続けていました。

ーーー 「今、普通に食事をしている」、その前は、「満腹感で一杯」、「これが約30分で薄れてきた」。その前は、脱衣場の鏡で、自分を見たら、「体中が赤くなっていた」。この赤身は、「強塩酸湯に浸かってできた」ことであった。

時間を遡ると、その最初は、強塩酸湯に浸かったことから始まっていました。

ーーー まったく、自覚症状がなかったにもかかわらず、体中が赤くなっていた。これは、いったい、どういうことなのであろうか?

私の頭は、その解答を見出そうとして、しきりに回転していたのでした(この稿続く)。