私は、この2年半、大分県国東市に住んでいます。

国東市は、その半島の東側で、その付け根あたりから北に長く延びた地域です。その南端に、大分空港があります。

私の郷里は大分県宇佐市です。ここには家も土地もああります。しかし、あえて国東を定年後の住処に選んだのは、この空港があったからでした。

私の家(国東市武蔵町向陽台)から大分空港までは、車で、わずか4分で着きます。上京するには、真に便利なところです。

しかも昨今の航空機運賃のコストダウンで、東京や大阪をますます近く感じるようになりました。

それに、温暖で燦々と輝く太陽、晴れの日が多く、海の幸に恵まれたところです。文字通りの「日本の地中海(作家森村誠一氏による呼称)」にふさわしいところです。

約1800年前、宇佐神宮が大きな力を持っていた時に、この地は、その修行僧によって切り拓かれ、彼らの修練の場となっていきました。

半島中央にある両子寺(ふたごじ)をはじめ、そう高くない山々があり、その周囲には平地と海があります。修行をしながら食物を得るには、格好の場所でした。

しかも、この半島は、東に向かって突き出していますので、その付け根のところを横断する交通路を境界にして、隔絶された地域であったことが、静かに修行を行うのに適していたのでした。

こうして、六郷満願文化という独特の仏教世界が形成されてきましたが、それは、一方で、歴史における近代化の歩みとは異なる営みがなされることを意味していました。

近代化の特徴は、都市における人口集中と産業を中心とする経済活動にあります。

この地では、それらの影響が少なく、ある意味で1800年前からの隔絶が、そのまま受け継がれてきたのではないかと思われます。

おそらく、大分県では、この国崎半島と県南の山間部が、その時流から離反した地域に相当するのではないでしょうか。

しかし、私が住む向陽台には、約200戸の立派な新築住居が並んでいます。ここは、大分空港ができるときに同時に造成され、当時から「ハイテクランド」と呼ばれてきました。

その理由は、電線の地中埋設とケーブルテレビ回線によるインターネットができることにありました。土地の一区画が100坪程度あり、電線もなく、ゆったりしている様は欧米の団地によく似ています。

また、空港ができてからは、大手電機メーカーの工場がいくつも進出してきましたので、この空港周辺は、それなりの規模の工業団地が形成されることになりました。

これらの工場に赴任し、しばらくして、この向陽台に住居を新築された方々がかなりおられます。

ところが、今では、その家主たちが、ここには定住していないのです。みんな、熊本や長崎に単身赴任し、月に1回帰ってくるという家庭が少なくありません。

子供は学校、奥さんは、住宅ローンや生活費のためにパートで働きに出る、この事例が多いようです。

したがって、ここでは、昼間に人影をほとんど見ることがありません。

かといって猪や鹿、猿が多いわけではありませんので、それこそ隔絶された世界に住んでいるのではないかと錯覚しているのではないかと思うことさえあります。


こんな具合ですから、近くのスーパーに買い物に出かける以外は、一日に目にする人が一人か二人という、真に、人が恋しくなる環境下にいます。

この住環境になれるまでには、しばらくの時間を要しました。

そうです。ここは、人はいても、人を見かけないところなのです。

人がいないうえに、人工の音がまったくない、あるのは、青い空と虫の声、そして時折吹いてくる季節の風などです。

これは、都会の人からみれば、それこそ現代から隔絶された世界なのかもしれませんね。

この生活に慣れるにつれて、これは先進的な未来を先取りした生き方なのかもしれない、と思うようになりました。

それは、なぜでしょうか。みなさんは、そのことを、どのように推測・想像されますか?

まず、その結論から先に述べておきましょう。それは、ここに住む方がメリットが多いということが鮮やかに明らかになったからです。

そのメリットとは何でしょうか。

次回からは、それらについて順次、詳しく解説していくことにしましょう(この稿続く)。

sawara 201408

体長約70㎝の立派なサワラ、国東市安岐港の朝の競りにおいて1300円で購入。