前記事においては、カキの稚貝の段階から卵を孕む(産卵)ようになっていることを指摘し、その問題点を考察しました。

じつは、当時の私は、この問題解決の重要性を正確に理解できていませんでした。また、一緒に養殖改善に取り組んだカキ漁師のTさんも、これを解決できるとは思っていなかったと思います。

当初は、ともに手さぐり状態であったといえ、この壁の孔を、マイクロバブルが、徐々に、こじ開け、そしてブレイクスルー(突破)していきました。

その最初の兆候が、抜群のカキの成長として現れてきました。

前記事において示した稚貝の写真は、6月22日の撮影でした。それから、約18日経過した7月10日時点でのカキの写真を示します。

tigai-hirosima19990710

これより、縦に延びたロープの直径が約1㎝ですので、カキの殻長が2~3㎝まで成長していることが明らかです。

前回の写真に示されたカキのサイズと比較しますと、それは2~3倍に成長しているように見えます。

また、この写真をよく観察すると、殻の先に爪状のものがいくつも飛び出しています。

カキ漁師は、この爪の出方で、カキが成長しているかどうかを判断しますが、これは抜群の伸び方をしています。

このような爪の伸び方は、カキだけでなく、マイクロバブル入浴をなさるヒトにおいても同じで、私もよく伸びています(もちろん、他の入浴者でも同じことが起こります)。

じつは、この稚貝段階における、マイクロバブルによる成長速度が抜群で素晴らしいのです。

カキの爪19990725

この写真は、その後に15日経過した7月22日の時点で撮影したものです。私の指先とともに、カキのよく伸びた爪がきれいに撮影されています。

じつは、この爪の長さは、大潮と次の大潮の間、すなわち20日間で決まるのです。

カキ殻の縞(しま)模様の間隔を「肋間(ろっかん)」といいます。この肋間が、20日間で形成されていくので、それを「カキの20日輪」ということもできます。

ですから、カキの成長具合は、その間隔を調べていけば、正確に解ることなのです。

この肋間を示す縞模様を数えて、このカキは、何年何月もののカキですというと、漁師のみなさんは、「それがどうしてわかるのですか?」とふしぎな顔をされます。

そんなときは、「いくら、素人の私でも、それぐらいのことは解ります」という気持ちになって、少し涼しい顔をすることができました。

これは北海道のホタテにおいても同じことで、その生育期間をぴたりと当てることによって、私の信用が増したことも経験しました。

それにしても、この爪の先は、よく伸びていて、私の爪が負けてしまいそうです(つづく)。