10月1日の記事に掲載した「青柚子」の写真を見て、そういえば、今年は、どうなんだろうと思って、早速、いつも注文する「櫛野農園(大分県宇佐市院内)」に聞いてみたところ、一足違いで「終わって」いました。

この園主は、私と3歳違いの同郷人で、農作おいては天性の優を有した方です。

「青柚子」が「黄柚子」に色づくころになっていたようです。真に、残念でした。

しかし、それでもよいかと思い直し、とりあえず、無農薬の分を10kg注文することにしました。新鮮な柚子の独特の香りと美味しさを試してみて、その結果をみなさんに報告する機会を設けたいと思います。

葉室鱗の小説に、『柚子の花咲く』という作品があります。

ここで、「桃栗三年、柿八年、柚子は九年で花が咲く」というフレーズがよく出てきます。

ゆっくりと時間をかけて熟成していく柚子になぞらえて、人間の成長も同じだよ、ということを、みごとに示唆する内容になっています。

真においしものは、時間をかけて育てる、これが基本だと思います。

因みに、大分県は柚子胡椒の名産地であり、これまでに数々の柚子胡椒を試してきました。そして、最後に行き着いたのが、この櫛野農園の「柚子胡椒(極々上)」でした。

これを毎日の食事で利用します。朝は味噌汁に、昼は、私が育てた野菜を挟んだ野菜サンドに、そして夜は、刺身や鍋の汁のなかに入れます。

この柚子胡椒を愛用するようになってからは、ワサビを一切使用しなくなりました。

あるとき、東京の友人(マイクロバブル人のK1さん、元NHKカメラマンの雄)がやってきて、午後3時ごろから夜までの長い食事をしたことがありました。

この時、私が、国東産の刺身に、塩と、その柚子胡椒をかけて食べるのを見て、怪訝な顔をしながら、私も同じようにして食べてよいですかと聞いてきたので、どうぞ、どうぞと勧めたことがありました。

東京人は、このような食べ方を知らなかったので、怪訝な思いが湧いてきたのだと思います。

新鮮な魚の旨み、塩味、そして柚子の香り、青トウガラシの辛味がミックスされて、とても上品な味になっていたので、K1さんも食べて吃驚、たちまち、この虜になってしまいました。

私は、親しい友人のお土産に、この柚子胡椒か、大分空港の売店で売られている「生柚子胡椒」をよく持参します。

先日(14日)も、この後者の方をK1さんに持参しました。そしたら、浜松町の駅前の「シェ・ノブ」というレストランに案内されました。

K1さんは、食に長けておられますので、その生柚子胡椒を、そのシェフに紹介されました。早速、彼が試食し、吃驚仰天、香りと美味しさにおいて初めての経験をしたからでした。

この方も毎日料理をして試食を繰り返されますので、味に長けていて、その後から出された料理には、この柚子胡椒がすべて隠し味として使われていました。

プロは、よりよいものに出会うとすぐに解る、という典型的な出来事でした。

こうして、柚子胡椒を口に入れるたびに、なぜか、「柚子は九年で花が咲く」を思い起こすようになりました。

真に優れたものができるには、静かに流れる豊かな時間が必要です。

我が人間形成もかくありたいと、その小説から学んだしだいでした。

「桃栗三年、柿八年、柚子は九年で花が咲く」


写真は、櫛野農園の柚子胡椒(極々上)、筆者撮影。
ゆずこしょう