約30分ぐらいだったでしょうか、温(ぬる)いお湯だったにも関わらず、身体は冷えず、逆に温かく感じたままで出浴することができました。

ーーー やはり、この潮湯はすばらしい。これまで、全国の名湯と呼ばれる温泉風呂に入ってきたが、これらに匹敵するほどの効果がでているようだ!

風呂から出て、おいしいみかんをいただきながら、しばし、大女将さんと談笑しました。

この旅館は4代目だそうで、1950年に嫁入りしてきたときのお風呂は、五右衛門風呂だったそうです。

女将さんは、その風呂の入り方をしらず、そばに底板と下駄が、なぜあるのかもわからなかったそうでした。

それから、風呂は今日まで4回場所を変えて建設していったそうで、その言葉には、戦後を背負ってきた重みがありました。

その長い間には、多くの人々が、この旅館を訪れ、旅立っていったはずです。

こんな話を聞きながら、私は、秘かにマイクロバブル潮湯の持続効果を楽しんでいました。

まず、先ほど入浴中に知覚した「ここちよさ」が、出浴後も持続していることを確かめました。

これは、なかなか言葉で表しにくいことですが、そこはかとなく気持ちがよく、身体が楽でリラックスできることをいいます。

この「ここちよさ」は、たとえば、長野県阿智村の昼神温泉におけるマイクロバブル風呂(「湯ったりーな昼神」の露天風呂)でも体験でき、ここでは、気持ちがよいので、ついつい長時間風呂に入り続けることに結びついていました。

このなんともいえない「ここちよさが」が相当長く持続し、それは翌日においても感じることができました(その効果を調べるために、その翌日は我が家でのマイクロバブル入浴を取りやめていました)。

この「ここちよさ」の逆は、医者の用いる用語でいえば「不快感」です。身体が冷えるか、時には痛みを覚えるまでになると顕著に出てくる感情です。

これは、高齢化で不健康の度合いが増せば増すほど出てくる現象であり、年老いてくると、この不快感をいかに和らげるか、これが重要な健康問題と結びついてきます。

当然のことながら「ここちよさ」と「不快感」は、相反する現象であり、実際には、不快感を克服することで「ここちよさ」が生まれてきているのだと思います。

これは、日頃から、この不快感と同居しているお年寄りにとって、それを克服可能とした「こことちよさ」が生まれてくることは、より重大なことにつながっていきます。

秋田の玉川温泉など名湯と呼ばれる温泉においては、副交感神経が刺激されて、このリラックス感が生まれてくることが有名ですが、これと似た現象が起こっているのではないかと思います。

このマイクロバブル刺激が脳にまで伝達し、「ここちよさ」を感じるようになる、この作用が、この潮湯では名湯に近いほど出てきているように思われます。

これは、温泉の出ない地域はもちろんのこと、とても素晴らしい効果といえます。

つづく

海喜荘の松

庭に植えられいる立派な松、2012年11月8日、マイクロバブル博士撮影。