このところ、風もない暖かい日和が続いています。先月以来、ささやかな研究拠点の一つとしてとしてのマイクロバブル水耕栽培プラントの整備が続いています。

いつのまにか、この緑の野菜作りに熱中するようになり、一日何回かのめぐり合いが心の安らぎを感じるようになりました。

植物ですから、短い時間における成長を見分けることができません。可能なかぎり、生育環境を整備し、後は必要な時間をかけて成長を待つしかありません。

そして、ある日、

ーーー こんなに成長したのか!

と気付くのです。そして、

ーーー もっと美味しく、もっと立派に成長させるには、どうすればよいか?

いつのまにか、植物プラントのビニールハウスのなかで思案することが私の日課になっていきました。

まずは、自分で育ててみよう、これが最初の課題であり、マイクロバブルは、その課題に立派に応えてくれました。

次の課題は、経済的な採算性をどう克服するか、でした。そのためには、早期の成長促進、高密度植生、そして、格段の味の向上でした。

これらについては、マイクロバブル水耕栽培において確かな手ごたえを感じることができましたが、それを十分に達成するまでには至っていません。

露地野菜との比較においては、現存する「6倍の壁」を何とかして打ち破って行く必要があります。

これまでの植物工場においては、最初から採算が取れないという基本問題があり、それは今も克服されていません。

それは、大幅な成長促進、高密度栽培、味の向上、安全性などを克服する課題と結びついており、少し前までは、テレビに登場する専門家は、その有効性を尋ねる司会者に対して、結局は、再後者について強調するに終わっていました。

LEDを用いて、いくら24時間照らしても、その課題を解決するブレイクスルーは得られず、最後には、採算性を得るにはLEDよりも蛍光灯の方が安くてよいといいだす始末でした。

また、植物工場を大型化しても採算が取れないから、隣にレストランを併設して、そこに野菜を出すのがよいとまでいっていました。

少し前には、「農商工連携」といい、最近では「震災復興」と称して、大型の「植物工場」の建設もなされていますが、果たして、そこから、未来に広がる植物工場に関する研究成果や実践例が生まれてきたでしょうか?

莫大な補助金を費やして、これらの試みがなされていますが、その費用便益は保てているのでしょうか。

私の発想は、これらの傾向とやや異なります。採算性を問題にするのであれば、まず、小型の高密度植物工場を実現し、そこでの量産効率と味を向上させることが大切であり、その実現をめざす必要があります。

すなわち、2坪のGFH(グリーンフォートハウス(緑の砦の家))から、どれだけの生産額や満足度が得られるか、ここが出発点になるのではないかと思います。

さて、その課題を本格的に解決するための研究として、小さな水路方式のプラントを作りました。

まもなく、それを稼働させることができると思いますので、上記の3課題(成長促進、高密度植生、味の向上)を探究することになります。

この水路においてもマイクロバブル装置は、当面1台で済ます予定です。運転費用は電気代のみですから、それをペイできる生産性を確保する必要があります。

最初は、あり合わせの水槽を用いて、「ちょっと試してみよう」と思って始めたことが、徐々に膨らんで、このような状況になってしまいました。

これは、昔、かつての高専における実験室が空のときに、さて、この狭い空間に、どのような装置を入れようかと一人考えていたときと似ていると思います。

家に帰ろうかと思って、ふと、その何もない実験室に立ち寄り、あれこれと考えているうちに1時間、2時間があっという間に過ぎてしまう、そんなことがよくありました。

今は、その実験室がビニールハウスに取って代わっていますが、考えるという行動パターンはあまり変わっていないようです。

国東の秋において、私の植物プラントが築かれ始め、初冬を迎えて、それがやや本格的になってきたようです。

ーーー さて、次はどんな野菜を育てようか?

ますます夢中になり、このミニプラントづくりにのめり込んで行きそうで、こころは密かに弾んでいます。

つづく

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花壇の野ボタンの花、2012年10月30日、筆者撮影。