車中で、河宇田湧水のマイクロバブル風呂の効果が、さらに明らかになってきました。

いつもと比べて短時間の入浴にもかかわらず、入浴後の肌触りがじつによく、皮膚の滑らかさにおいて、気持ちの良い格別のさわやかさを感じていました。

--- これがメタケイ酸の効果なのか? メタケイ酸は皮膚の保湿性に優れる物質であり、阿智村の昼神温泉に含まれていた成分だった。

この効果なのでしょうか。肌と肌をこすりあわせるとここちよい滑らかさを感じました。一番簡単なのは手と手であり、この手触りがいつもとかなり異なり、なんというか、さわやかなのです。

2つ目の効果は、身体が温かくなる「ここちよさがかなりずっと続いていたことでした。

手足は、外気に触れますので体温が下がり冷えやすいので、その温かさの持続性を確かめるのに便利な部署です。

この持続性、いつみょり長く、足元においても同じ温かさを感じていました。

これらをまとめると、さわやかな湯触り、滑らかな肌触り、そして温かい「ここちよさ」の持続、これらに特徴があるように思われました。

ーーー この湧水で毎日マイクロバブル風呂に入ると、「重要な何か」が起こる可能性があるのではないか。それは単なる健康改善に留まらないのではないだろうか?

このような想いが幾度も過りました。

その意味で、この試みが、どのような成果を生みだしてくるのであろうか、そのことを考えると、この効果については、ますます胸が膨らんでいくような気持と予感が湧いてきました。

さて、この日の2番目の訪問地は銘菓の「但馬屋老舗」でした。

竹田市内の中心街に本店があり、そのまた近くに工場を兼ねた別店舗があるとのことで、この後者においては焼きたての「三笠野」という名物菓子を食べることができると聞いていましたので、ここをめざしました。

この但馬屋老舗の名物は、その「三笠野」と「荒城の月」です。前者は、よく練ったこし餡を小麦粉の香ばしい皮で包んだ三日月型の焼き菓子のことです。

この焼きたてが食べられるということで、早速工場のある店舗の方に向かいました。焼き立てでおいしいのは宮島の「いわむらもみじ屋の『もみじ饅頭』」です。

ここは、粒餡と越餡の二種類があり、「焼きたては粒餡、冷えたら越餡」というのが、もっぱらの評判でした。

私も何度か、現地で試食し、そのことを確かめていました。

この三笠野は越餡であり、それを包んだ皮をパリパリになるまで焼いて食べるのです。

この但馬屋の創業は1804年(文化元年)で、最初に作ったお菓子が、この三笠野だそうで、ここには、長い伝統のなかで洗練されたお菓子のおいしさ、美しさがありました。

「これは、おいしい。皮が熱いと違った風味があるね!」

旅の同伴者も同じような感想を述べていました。

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三笠野、2012年12月29日。筆者撮影。

そして、次は、「荒城の月」です。これは、黄身餡に白い泡雪を巻いた饅頭であり、とてもユニークな味を醸し出します。

通常は餅で餡を包み込むのが饅頭ですが、それを泡雪羹で包んだことにすばらしさがあります。

「なぜ、餅ではなくて泡雪で包んだのか?」

すぐに、この疑問が湧いてきました。

餡が甘いから、この側の泡雪は甘くありません。これらが口の中で混合され、その味が広がっていき、おいしさが出てくるのです。

いずれも、200年余の伝統のなかで洗練され、研ぎ澄まされた味に到達している逸品といえます。

「先生、三笠野と荒城の月を食べるのでしたら、竹田の但馬屋老舗にいってください。この頑固なまでに手づくりに拘っているのが但馬屋です!」

こういわれていましたので、その言葉を思い出しながら、お茶とお菓子をいただきました。

お土産には、この三笠野と荒城の月、そして、「九重(ここのえ)」と泡雪を3本買いました。

それは、荒城の月に泡雪羹をなぜ使ったのかを探索するためでしたが、その理由は、これらの泡雪を食べてみて、少し解ったような気がしました。

帰りの車中では、このお菓子談義の花が咲きました。

「今日の老舗の焼き三笠野はどうだった? 意外に上品な味で、もみじ饅頭とはだいぶ違うような気がしたけど、どう?」

「焼き立てのもみじ饅頭は、まだ食べたことがありません」

「そうだったね。おいしさは、どうだった?」

「たしかに、おいしかったけど、もみじ饅頭とは何か違うと思いました」

「そう? どこがちがうのかな?」

「もみじ饅頭の場合、それを食べた後に、もう一つ食べたいという気持ちが起こるのに、三笠野の場合は、それが起こらなかった。たしかにおいしいお菓子ですが、それを食べて満足という感じがしました」

「そうか、たしかにそうだね。甘さもこちらの方が強いのかな?」

「こちらの方が甘く、それが影響しているのかもしれません」

「『荒城の月』は、どうだった?」

「こちらは、他のどこにもないお菓子で、おいしいと思いました」

「甘さはどうだった?」

「こちらも、やや甘すぎると思いました。これが強すぎると、もういいやという気持ちになります」

「そうだね。甘さの問題は重要だね」

「さきほどいっていた、食べた後にすぐに食べたくなるという問題は、甘さの問題だけではないとは思うけど、どう?」

「口に入れて饅頭を噛みほぐしたときに、もみじ饅頭の方は、なんともいえない皮と餡子の混合がなんともいえず、噛んでいるうちにさらにおいしさが出てくるのですが、この場合にはそれが弱いといいましょうか、その混合効果が十分ではないのかもしれません」

「そうかもしれないね。その違いは、どこからくるのであろうか? おそらく、それは皮と餡がよく混ざりあって互いの効果を引き出しやすくしているからだと思うけど・・・・。たしかに、マイクロバブルもみじ饅頭は、その点が優れていたのかなぁー。これは色々と研究してみる価値がありそうだね」

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荒城の月、2012年12月29日。筆者撮影。

「200年余の伝統の味を発展させるのだから、やりがいはありますね!」

「そうだね。新しい改良で伝統を重ねていくのが、現代人の務めだから、そこには小さくない意味がありそうだね!」

車は、すでに大分米良インターの近くまで到着していました。

時間の関係で、3つ目の訪問予定地でした岡城には行けませんでした。また、次の機会に訪問したいと思います。

師走の終わりごろに、とてもよい旅となりました。

つづく