本田選手は、なぜ、あのように素晴らしい無回転のフリーキックを蹴ることができたのか、多くのみなさんが、この疑問を持ったはずです。

 なぜ、回転しないのか、回転しないと予想できない弾道の揺れが生まれる、それはなぜか。

 さらには、本田選手は、どのようにして、その無回転キックをけれるようになったのか、想像すればするほど興味が尽きない問題ばかりです。

 せっかくだから、本日の講義において、高専3年生に、次のようなレポート作成の宿題を出させていただきました。

 サッカーワールドカップデンマーク戦において、本田、遠藤のフリーキックが決まった。

 前者は、無回転のフリーキックであり、後者は、回転のかかった曲がるフリーキックであった。

 この無回転、回転のフリーキックの運動を比較せよ。

 また、今回のワールドカップのボールについても、従来のものと比較して何が違うのか、その点を考察せよ。

 今回のボールは、野球のボールか卓球の球か、いずれに近づいているのか、これらを含めて考察せよ。

   さて、学生たちが、この問題をどのように考えてくるのか、それはそれで楽しみですが、ここでは、私なりに、その考察を進めさせていただきたいと思います。

   まずは、マスコミの取材によって、その一端が明らかになりつつあります。どうやら、その秘密の第一は、本田選手の靴にあったようです。

   靴といえば、日本のミズノというメーカーがありますが、どうやら、本田選手とミズノは約2年前から共同研究開発の契約を結んでいたようです。

   ミズノといえば、あのカールルイスの重さ100gの靴を作ったメーカーであり、その新開発のアイデアづくりに常に挑戦している会社です。

   あの時は、いかに軽くて丈夫な靴を造るかが課題でしたが、今回は、蹴っても回転しない靴づくりでした。

   野球のボールでは、中の3本の指を曲げて回転させないようにして投げるのがナックル、これだとボールがどこに行くのかを打者が予想できないので、遅い球でもうまく打つことができません。

   また、遅い球ほど揺れやすいので、遅いことと揺れることが同調して、さらによい効果が生まれるという具合になっています。

   サッカーでは、指を使うことができないので、靴の開発に目をつけたというわけです。そこでミズノは、本田選手がどのように無回転キックを蹴っているのか、それを研究したそうです。

   そして、靴の内側の上部に回転を起こさせないよな特殊ラベルを張り合わせることを考えました。

   その部分が色違いになっている本田選手の靴がテレビ画像に写されていましたが、足首の内側の下の方でした。

   本番の本田選手の靴の色は黄色、もちろん、その部分の色が違うということはありませんでした。

 そうであれば、せっかくの秘密兵器を相手に明らかにすることになりますので、その部分は同色にすることによって隠していたのでした(つづく)。

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