長年の政権が瓦解し、新たな政権のもとで、いろいろなことが試されています。この中で新たな変化が生まれていますが、そうでないものもいくつかあります。

 その一つが公共事業の削減です。新たな政権を迎えて、この予算はさらに削減され、それが地方における投票の結果にも影響を与えるまでになったといわれています。

 かつての、道路やダム、港湾、空港づくりに代表される公共事業が大幅に削減されきましたので、その意味では、小さくない変化を遂げる時代がやってきています。

 昔は、日本一の県営ダム数を誇った地元山口県においても、新たにダム建設がなされることは非常に少なくなってきました。

 これも国の政策の反映の結果であり、ダムは、これまでの「建設」から「維持管理」、そして「蘇生」への時代に突入していきます。

 先日、NHKにおけるアンコール放送で、北海道のダム建設の事例が放送されていました。この川では、ダムを建設する前の清らかな川が消えてしまい、年中土砂で汚れた水が流れる川になってしまいました。

 その番組では、そのダム建設がよかったのかどうかについて検証するために、その建設に関わった学者や自治体、そして地域の住民の方々の生々しい証言が示されていました。

 今や、新たな時代がやってきて、その視点から,そのダムの現実を眺めてみれば、だれの目にも明らかな結果が出ています.

 貯めた水はほとんど利用されず、たくさんのカヌー愛好者が集っていた清浄な川が、1年中土砂の混じった濁流になり、だれも近寄らない川になってしまいました。

 そのことが、テレビ番組として再検証され、アンコール放送としても評価されたのですから、そのことを真摯に受け留める必要があります。

 すでに、熊本県でも、不要になったダムを取り壊す計画が明らかになっています。

 新河川法においては、治水と利水に加えて、「環境」を重視する川づくりの必要性が指摘されています。しかも、その流域に住む地域住民と一緒になって、川づくりを行う重要性についても示されています。

 そこで、さらに重要な課題が、川やダム貯水池の水をきれいにする、水質浄化なのです。

 「そこまでする必要があるのか」と、ある技術者が私に尋ねたことがありました。

 これからは、ダムを建設する前の清浄な水に戻すことを可能とする、あるいは、それ以上にきれいにする、その技術力が問われる時代がやって来ようとしているのです。

 ですから、ダム貯水池の下層において酸素不足になった場合に、そこに空気を吹き込んで、酸素不足を解消すればよいということで済む時代ではなくなったのです。

 当然のことながら、その酸素不足を解消するとともに、よりきれいな水づくりを行い、そのことで水環境を蘇生させる技術が求められているように思われます(つづく)。


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