6.マイクロバブルの利用(1)広島のカキ

 1999年から、マイクロバブルを海の水産(すいさん)に利用(りよう)することがはじまりました。そのさいしょが、広島(ひろしま)のカキ養殖(ようしょく、人の手でそだてること)でした。

 その前年(ぜんねん)の1998年に、広島湾(ひろしまわん)では、たくさんの赤潮(あかしお)が発生しました。

 南方(なんぽう)からはこばれてきた新しい植物プランクトン(しょくぶつぷらんくとん、小さい藻(も)のような植物(しょくぶつ)のこと)が異常(いじょう)に発生し、それでカキのほとんどが死んでしまいました。

 広島に住む大学時代(だいがくじだい)の友人(ゆうじんから)、「なんとかしてくれ、カキをすくえ!」とたのまれたことが、これに取りくむきっかけになりました。

 さっそく、カキ用の装置(そうち)をつくって、じっさいの海でためしてみました。

 おおぜいの漁師(りょうし)のみなさんが見まもるなか、装置(そうち)を水めんから10m下までいれて、マイクロバブルを発生させました。

 「すげぇ!海のなかがしろくなった。ミルクのようだ。それにしても、このあわは上まであがってこん!なんdじゃ?」

 みなさん、そのマイクロバブルを見て、ふしぎな顔(かお)をしておられました。

 海水(かいすい)においては、それこそ、ミルクのように白くなりますので、10m下の海では、それこそ、白いじゅうたんをしいたように白くなっていました。

 「このあわは、いままでみてきたあわとちがう!」

 「これは、マイクロバブルという小さなあわなのです。みなさん、そのあわが上までなかなか上がってこないとおっしゃられていましたが、いくらまっても、このあわは上まであがってきません」

 「どうしてかのぉー?」

 「このあわは、1mあがるのに5時間かかります。ですから、上まであがってくるとしたら50時間もかかります。その間に海水にとけてなくなってしまうのです」

 「50時間?そりゃ、だめじゃ!」

 こうだれかがおっしゃられると、みなさんに大きな笑(わら)いが生まれました。 

 そのなかで、マイクロバブルをよく見ていた漁師(りょうし)が叫(さけ)びました。

  「カキの口がひらいちょる、いつもより三倍もひらいちょるでぇー」

 たしかに、カキが大きく口をひらいていました。これが、マイクロバブルにたいして反応(はんのう)したカキのようすだったのです。

 これがきっかけになり、マイクロバブルがカキの成長(せいちょう)にとてもよいことが明らかになっていきました。

 そして、味がよいこともわかり、30年前からとれなくなっていた1年もののカキが復活(ふっかつ)し、とれるようになりました。

 また、マイクロバブルでカキについていた細菌(さいきん)を取ることで、夏ガキも出荷(しゅっか)できるようになりました。

 これは、広島では初めてのことになり、460年ぶりのこととなりました。

 こうして、赤潮(あかしお)で苦しんでいた漁師(りょうし)のみなさんをすくうことができました(つづく)。

  カキ 

 マイクロバブルを与えることによって大きく口をあけたカキです。通常は、このように大きく口をあけません。魚などに食べれてしまうからで、とても用心ふかい性質(せいしつ)をもっています。