機内で、あの「オールナイト ニッポン クラシックス」を聞きながら、外の景色に見とれたことがありました。

 羽田発18時50分、山口宇部行きの夕闇せまる最終便です。そのときは、いつもの通路側席は違って窓際席に座っていたのが幸いしました。

 高度1万メートル、雲の上を飛んでいますので、西の方が明るく、その一部が茜色に染まっていました。

 「なんときれいな西の空であろうか!」

思わず、言葉が出そうになりました。

 その茜色の雲を見続けていて、その雲のそばに真っ黒な雲があることに気づきました。形は入道雲のようで、その上部先端はたまごのように丸くなっていました。

 「なぜ、茜色の雲のそばに、この黒い雲があるのであろうか?」

 不思議に思って、それらを観察していると、その雲の一部から、時折、光が発せられていることを見つけました。

 「雷か、これはよい光景にでくわした」

 1万メートルの上空から、雷を直接見たことはなかったので、今度は、その雷の発光を食い入るように見ることになりました。

 まず、真っ黒に見えた理由ですが、これは厚い雨雲ですから、光はほとんど通さない、ですから、西日も遮断されて、真っ黒に見えたのであろう、これはすぐに推察することができました。

 次に、雷光には、その規模に応じて2種類のパターンがあることに気づきました。それが大きい場合には、雲全体を照らして、その全体像が見えました。

 しかし、これは一度しかなく、残りの大多数は小さな規模の光で、これが繰り返し黒い雲のなかで起こっていました。

 それをしばらく観察していましたが、それが、必ずあるところで発生していることに気づきました。その雷の発生地点は、雲の真ん中ではなく、端の部分でした。

 黒い雲の隣は、晴れた部分で、見通しのきく大気圏であり、その大気圏との境目付近の雲のなかで決まって雷が発生していたのでした。

 「またか、やはりそうか」と、その定位置を確認しながら観察しましたが、このときは必ずそうなるので、おそらく、この境界付近で空気の流れが速く、そのせん断や混合によって雷が発生しているのであろうと推測させていただきました。

 大気中で発生する壮大な自然現象を直に見ることができ、私の心は浮き立ちました。

 大規模な空気と空気の混合、摩擦、そして野結果として起こる発光現象、記憶に残る印象深いフライトになりました。

 この雷は、空気中で高音となる発光現象であることがよく知られています。現象は酸化反応であり、この雷の発生によって少なくない窒素酸化物が発生させられると聞いています。

 日本は多数の雷発生国であり、これを何とか有効利用できないかという相談を受けたことがありますが、それはいまだ実現されていません。

 光るといえば、マイクロバブルも光ります。この雷現象とマイクロバブルの発光現象を比較し、しばらくは、そのことを考えていました。

 機外は、もうすっかり夜になっていて、さきほどの茜色の空はなくなっていました。イヤホンからは、例のアンコーさんの元気な声が聞こえてきました。

 「オールナイト ニッポン クラシックス、フレッシュな夜をリードする オールナイト ニッポン、青春の思い出は心の翼!」

 「パー、パパッパ、パパッパラ、パッパ」、耳元からは、本日2回目のオープニングのテーマが流れていました(この稿おわり)。

 MP900432757かみなり