日本人のお二人がノーベル化学賞を受賞されました。すばらしい出来事です

そのお一人の鈴木章先生のインタビューを聞かせていただきました。

その第一声は、「はからずも」という言葉からでした。これは、「意外にも」、「思いがけずに」という意味ですが、先生の場合は、少し事情がありました。

先生は、若い頃に、アメリカのパデュー大学のブラウン教授のところに留学されます。この方もノーベル化学賞を受けられた方でした。

鈴木先生は、この方のもとで研究を進められ、今回の受賞の理由となった「クロスカップリング反応」という重要な成果を見出すことができました。

あるとき、ブラウン教授における記念の集会の最後のあいさつで、今回のお二人の教授に特別のことが起こります。

それは、ブラン教授自身からの助言であり、お二人をノーベル賞候補として推薦したというものでした。ここでます、幸運の女神が鈴木先生にほほ笑んだのでした。

鈴木先生としては、それを内密にしていてほしかったそうですが、そうはいかず、ブラウン教授自身から、それを公表されたので内密にすることはできなかったとのことでした。

そして、それからも研究がすすめられ、北大名誉教授になられました。

「今回の受賞をどのように思われますか?」

この質問には、素直に喜ばしいことであるということで、上述の枕言葉が発せられのだと思いますが、それは、本当に意外だったかというと、想定内における「意外」だったのです。

続いて、鈴木先生は、次のように仰られました。

「それは、セレンデピティがあったからだと思います」

この言葉は、「幸運力」とでもいうもので、幸運を引き寄せる能力を意味しています。そして、この言葉を次のように、きりりとした目つきで説明されました。

「何事も、この幸運を得るには、その準備をしておかないと巡り合えない」

私も、その準備をしていたから、その受賞を得たのだという思いがにじみ出ていました。

また、もう一人の根岸栄一先生のインタビューが、少し遅れて報道されていました。先生のお言葉で印象深かったのが、「50年待ち続けていた」というお言葉でした。

やはり、根岸先生も、その準備をなされていた方でした。

この幸運の力である、セレンディピティーに恵まれるには、それにふさわしい準備が必要である。その準備の重要性をも教えていただいたお二人の会見でした。

多くの国民のみなさんや若者に夢を与えたお二人の受賞のニュースでした(つづく)。

MP900432910