マンデラ大統領の発した第4の「ひらめき」は、それとなく進行、実現されていました。

南アフリカのラグビーナショナルチームであるスプリングボッカスは、そのワールドカップの初戦でオーストラリアチームをみごとに撃破します。

そのお祝いがなされ、翌日は軽い練習が行われる、これが普通のメニューでした。ところが、彼らに港までランニングをさせ、船に載せたのです。

これは彼らの気分転嫁に最高の方法でした。そして船で向かった先が、マンデラ大統領が27年間牢獄につながれていた島でした。

大統領は、気分転換とともに、自分が入っていた獄舎を見学させるという「ひらめき」を得て、それを実行させたのでした。

ここでも、キャプテンのフランソア・ピナールが小さくない刺激を受けます。彼は、大統領が入っていた刑務所の部屋に一人入ったままで、大統領のことを思い浮かべます。

また、外を見渡し、大統領が作業をさせられていた姿を思い浮かべます。

ここで、その罪人としてのマンデラが、一人、次のことばをつぶやきます。それは、その前の日に、大統領がピナールに手渡した詩の一節でした。

「私は、私の運命の支配者であり、私の魂の指揮官である」

この言葉がピナールの胸にぐさりと刻み込まれます。そして、それを考えながら、スプリングボッカスは勝ち続けていき、いよいよ決勝戦を迎えます。

相手は、世界最強のチームといわれているニュージランドのオールブラックスでした。

この相手を前にして、それこそ決勝戦の試合の前夜に、ピナールが必死で考えていたことは、この相手にどうやって勝つことかということではありませんでした。

それは、マンデラ大統領のことであり、27年間も牢獄で過ごすことをさせた相手に対して、なぜ、あれだけ寛容になり、許せるのかということでした。

決勝戦前夜に、ラグビーで勝つことを忘れ、その国のことを真剣に考えるようになることができたのがピナールだったのです。

彼は、そのマンデラ大統領から手渡された詩の一説にあるように、自分の魂を支配できる指揮官へと脱皮し始めていたのでした。

この第4のひらめき、見事としかいいようのない、天晴れさですね。

もう一度、忘れないために書くことにしましょう。

「私は、私の運命の支配者であり、私の魂の指揮官である!」(つづく)

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