1994年のクリスマスイブはドイツのゲッティンゲンで過ごしました。今から16年も前のことですが、その日のことをよく覚えています。
たしか、カトリック系の教会のコンサートに出かけました。私が住んでいたアパートから数分のところの協会で、旧市役所(ラットハウス)のすぐそばにありました。
このコーラスには、家内が参加していたこともあり、教会での生のコンサートに参加するのは初めてのことでした。
彼女によれば、ドイツに来て、すぐに、この合唱団に参加したようですが、それには試験があったようで、かなり厳格な指揮者だったとのことでした。
当日は、前の方に座って緊張しながらミサを聞かせていただきました。
この頃になるといくつもの教会でコンサートがありますが、ここもその一つでしたが、この街ではメインの教会でしたので、それだけ演奏もすばらしいものでした。
2つ目は、アベントクランツの思い出です。この国では、クリスマスが最大の年末行事であり、正月は1日から仕事を始めます。
植物で作った輪(リング)のそばに4本のローソクを立て、1週間ごとに灯をつけていきます。こうして4週間目にクリスマスを迎えるのです。
クリスマスを楽しみにする子どもたちは、その灯のついたローソクの数を数えながら、楽しみに待つのだそうで、これが実質的なクリスマス期間となっているようでした。
私たちは、朝から次の食べ物の用意をさせていただきました。
①焼き立てのブロートフェン(小さいフランスパンのようなもの)
1907年創業のパン屋があり、そこで焼き立てパンが朝の10時から売り出されるので、これをその時刻に合わせて買いに行きました。
香ばしくて美味しいので、30個くださいというと、売り子が3つの間違いだろうと聞き返してきます。そして必ず30個と言い返すことで納得してもらえます。
当時の家族は6人でしたので、ひとりあたりにすると5個になります。これがおいしいのですぐになくなってしまていました。
②新鮮なソーセージ
有名なものはホワイトソーセージですが、ほかにもいろいろな種類があり、これを市場に買いにいきました。子供たちは、これを焼いてパンに挟んで食べるのが好きでした。
③生のサーモン一切れ
生のサーモンがハンブルグ経由でノルウエーから届いていました。ドイツ人は、これを調理してパンにはさんで食べるのが好きなようでした。
このサーモンは、日本ではなかなか食べられないほどの立派なものでした。
④モーゼルワイン
行きつけのワインショップでワインリストを見ながら、少し上等のワインを注文しました。それは、その店の主人がさすがというほどのよいワインの注文だったようです。
そのとっておきのワインの価格は15マルク(1500円程度)でした。日ごろは数~10マルク程度のものを買っていましたので、この日は格別でした。
⑤コロンのケーキ
「コロン」とはケーキ屋さんの名前です。ここのケーキはドイツ一うまいといわれるほどでしたので、このケーキを味わうことができたことはとても幸福でした。
あるとき、ミュンヘン一といわれるケーキ屋さんにも行きましたが、その噂通り、やはり、コロンの方がより上等でした。
ここで、ババロアとクランツのケーキを買いました。子供たちにとっては、それこそ最高のデザートとなりました。
こうして、楽しいクリスマスイブを過ごすことができました。食後は、その頃に習慣化していた街の散歩に出かけ、旧市役所前の屋台で大勢に方々とともにホット赤ワインを飲むことができました。
そして深夜になると、街のあちこちで花火を鳴らす音が聞こえてきました。
花火は別にして、とても静かで楽しいクリスマスイブでした。
この頃から、私も自分自身をようやく取り戻すことができ、ささやかですが、私のシュトルムウントドランクが始まったことを自覚するようになりました。
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