子どものころの思い出のひとつに甘納豆があります。

なにせ、甘いものがなかなか手に入らなかった時代ですから、羊羹や甘納豆は特別のおやつでした。

とくに、甘納豆については、よく通った駄菓子屋のクジの景品の中にあり、その争奪戦がありましたので、よく記憶に残っています。いわゆる、「甘納豆クジ」と呼ばれたものでした。

たしか、一等の横綱クラスの袋には、たくさんの小豆の甘納豆が入っていました。

そして、その等級が下がると、袋のサイズが徐々に小さくなり、その中の小豆の甘納豆の数も減少していくという単純なものだったような気がしています。

この場合、クジの論理もルールも理解していなかったので、その甘納豆の大袋獲得を目指して、せっせと「クジに挑んでは負け」を繰り返していました。

この闘い、当然のことながら負け続け、その「はずれ」は、甘納豆が約10粒ぐらいしかはいっていなくて、いつもそれに甘んじるしかなく、その度に悔しい思いをしていました。

「いつかは、あの一等の大袋を取ってやる」と思っていました。

あるとき、どういうわけか、その甘納豆クジで、かなりの人数が引いた後で、残り少ない状態で、その一等の大袋が残っていました。

「これはめったにないチャンスが来た!」と思い、クジを引くと、みごと第1等があたり、念願の大袋をゲットしたことで大喜びをし、甘納豆をたっぷり食べて満足したことがありました。

子どもの頃ですから、その大喜びで終わりましたが、その甘納豆クジがどころから流れてきて、しかも、それがなぜ小豆の甘納豆であったのか、これらについて考察が及ぶことはありませんでした。

ただ、子ども心に「甘納豆は美味しい食べ物である」という記憶が鮮やかに残ることになりました。

その意味で、甘納豆が、私にとっては決して忘れることができない、クジのお菓子だったのです。

しかし、その思い出は時の流れとともに自然に薄れ、いつのまにか、その存在すら意識のなかで無くなっていました。

あの甘納豆、いったいどこに行ったやら、といった具合になっていました(つづく)。

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