マイクロバブルの溶解現象に関連して、疑問に思っていることが2つあります。ここでは、それらを改めて考えてみることにします。

すでに、述べてきたように、超高速旋回式で発生したマイクロバブルの大半はすぐに収縮し始めます。

その様子を観察し、描写すると次のようになります。

その発生時に最も多い直径20~30マイクロメートルのマイクロバブルを中心にすることにしましょう。

このサイズになると、自ら縮んで小さくなる時間的割合、すなわち収縮速度はかなり大きくなっていて、それに依存しながら液体中で収縮していきます。

そして、その速度が急変してさらに増大するのが、直径10マイクロメートル以下の、いわゆるマイクロナノバブルと分類される気泡です。

この収縮速度の急増は、それ以前よりも時として10倍を超えることもあります。

そして最後にといいましょうか、収縮の最後期のほんのわずかな瞬間において(1/10秒以下)、マイクロナノバブルがナノバブルへと移行して消えていくのです。

この様は、それこそマイクロバブルが小さくなって、すっと消えていきますので、その間に何かが起こるということは一度も観察されたことはありません。

ですから、一部にいわれているマイクロバブルの「圧壊現象」なるものは、いくら探しても観察されないのです。

「圧壊」とは、「気泡内の圧力によって気泡が破壊される」現象のことをいっていると推測可能ですが、その気泡を丹念に観察している限り、圧力が高まって壊れるという現象ではなく、より素早く溶けて無くなっていく、これが正しい観察の結果だいえます。

となると、圧力の高まりによって気泡が壊れるという考え方には、不自然さを覚えざるをえません。

また、そのような概念の持ち込みは、超音波の世界で同一文字の用語があることから、その機械的引用を行って説明をしようとしたにすぎないことといえそうです。

もうひとつの疑問は、マイクロバブルの「自己加圧」なる現象のことです。この説明においても、上記と同質のレベルのものを認識せざるをえません。

もともと圧力とは、対象物とその周囲の、それぞれの圧力の差によって生成するものであり、よほどの孤立した状態を除けば、そのほとんどが相対的なもので成り立つ現象といえます。

当然のことながら、液体内の気泡の場合も同じであり、周囲の液体と水中の気体の圧力の差によって、さまざまな現象を呈するようになる、これが自然のことなのです。

それを踏まえて「自己加圧」というのであれば、マイクロバブル自身が圧力を増大させるメカニズムをきちんと説明できることが前提となります。

そして、それができなければ、それも単なる推測でしかないということになります。

しかし、その場合も「自己加圧」という表現は正しくなく、あくまでも周囲の圧力と気泡内部の圧力差の関係で説明されるのが重要なことといえるではないでしょうか。

以上を考慮しますと、まだまだマイクロバブルの科学に解明の余地は決して小さくないような気がしています。

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