新聞報道によれば、養殖ホタテの大量斃死の特徴は、以下の2点にあります。
①陸奥湾南部の停滞水域を中心にして大量斃死水域が形成されており、南北で斃死割合が大きく異なっている。
とくに、青森市に近接する水域における斃死が著しく、この付近の海域の極端な水質悪化が推測される。生存率がゼロに近いことから、無酸素水域の大量発生が主因と考えられる。
②成貝と稚貝の両方が共に斃死している。
通常の場合、成貝よりも稚貝の方が強く、成貝、稚貝の順で斃死が始まることから、両者の斃死率が同じになることはまずありえません。
成貝が死んでも、稚貝がわずかでも生き残ることが多いのですが、この青森市付近の海域では、成貝と稚貝の両方の大半が斃死しているのです。
これは、極端な無酸素水域の形成が大規模になされた結果を示唆するものであり、ここに深刻な海の悪化が進んでいたことが推測可能です。
この事態は、おそらく、以下のように進行したのではないかと思われます。
1)夏場の異常な水温上昇
2)プランクトンの大量発生と斃死、海底への堆積
3)海底付近の酸欠・無酸素水域の形成、海底生物(地巻きホタテを含む)の大量斃死
4)酸欠・無酸素水域の成長、大規模化
5)ホタテの成貝および稚貝の大量斃死
(つづく)
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