徳山駅始発の新幹線に乗り、神戸へ向かっています。早朝から雪が降り始めましたので、新幹線が動いているかどうか心配ななかで駅に向かいました。

切符売り場で、「本日は動いていますか」と尋ね、「今のところ大丈夫」だと聞いて、少し安心しました。

どうやら昨夜は日本海側でかなり雪が降ったようで、広島を過ぎるとまったく問題にならない運航になり、一路神戸を目指しました。

例によって、新幹線の中は、私にとって格好の仕事場ですから、本日の講演準備をたっぷりとさせていただきました。

そういえば、昨夜は、その準備を終えることができずに、そのまま寝てしまったことを思い出しました。

駅に着いてからは、むすび1個、お茶とアリナミンVVを買い、がらがらの新幹線に乗り込みました。

さて、この1ヶ月間、本日と月末の講演のために、新たなスライドを約60枚作り直し、その準備に没頭してきました。

今回の講演のテーマは、「技術力」に関するもので、それに関する教育機関やメディアでの調査や論議を踏まえたものでした。

そこで、このテーマに関する問題意識を紹介させていただきましょう。

その第1は、日本の技術力が世界で第二位を保っている一方で、逆に、産業競争力においては第27位という低迷に陥っていることでした。

これはいったいどういうことか、簡単には説明できないことであり、この2つの評価の根源を探る必要があると思いました。

先日、あるテレビの大型討論会では、堺屋太一さんが、現在の日本の状況について、以下のような評価をなされていました。

楽しさ D(A~Dの評価で最低ランク)

情報発信力 D

科学、技術 C

そして、その結論は、日本がBランクからCランクへと転落したというものでした。

この評価は、上記の産業競争力における第27位という評価と通じるものといえます。

第2の問題は、このような状況を正しく理解しているか、また理解を踏まえて、有効な技術者教育がなされているか、さらには、その対象者である学生たちが、そのことを自覚しているかどうかなどにあります。

もしかしたら、その危機意識もなく、かつての日本の状況を、そのまま引きずっているのではないか、このような心配が生まれたからでもありました。

加えて、昨今のテレビや新聞紙でも明らかなように、日本の大学生は「就活」なるものに明け暮れるようになり、本腰をいれて勉強をするどころの話では無くなってしまいました。

大学生の企業就職率の内定率がNHK報道では56.7%という飛んでもない数字が示され、その後の政府の調査でも、それに近い数字が明らかになりました。

日本の半数から6割の大学生が、就職できない世の中がやってきていて、その見通しが立たない、先行き不安の状況が生まれているのです。

この数字は、大手企業が日本の若者を必要としない時代が忍び寄ってきていることを示唆しているように思えます。

この現実がさらに進行し、それがますます厳しい状況に至るのではないか、そのことを考えますと、その問題について真剣に考える必要があるのではないかと思っています。

そう考えますと、技術力第2位、産業競争力第27位、国の評価C、これらを甘んじることなく、持続的に改善していく、その展望と方法を身につけなければならないのではないかという思いに至りました。

そこで、新幹線の中で、最後の仕上げを行い、それをほぼ完成したころに新神戸駅に到着しました。

本日の神戸は、雪もなく、山口よりは温かめの日和でした(つづく)。

      MR900409546