マイクロバブルの溶解における特徴は、発生量は少ないけれどもその溶解効率が高いことにあります。しかし、その理由については正確な説明ができないままに終わっています。

そこで、以下にように、これまでのマイクロバブル溶解説をまとめてみることにします。

(1)表面積増大説

空気の塊を小さくしてマイクロバブルにすると、その分だけ表面積が増大します。その増大分だけ、液体との接触面積が増えるので、溶けやすくなると考えることです。

たしかに、大きな気泡よりは小さな気泡の方が溶けやすいということは事実ですが、問題は、それがなぜ溶けやすいのか、そこに切り込むまでには至らない、ここに問題があるように思います。

(2)表面張力増大説

この説は マイクロバブル化、すなわち小さな気泡になるにつれて表面張力が増大することに期待を寄せる見解です。

これは液体と気体の界面において液体表面に働く張力が、その気体の収縮に伴って増大するというものですが、これとて、表面張力が実際に計測された事例はありません。

仮に、気体の塊が収縮して、その際に表面張力が増大するとして、その増大で気泡内の圧力や温度が大きくなると、その界面における液体の様子も変化してしまいます。

となると、気体の収縮に伴って、表面張力が増大し、加圧が実現されるかどうか、これが問題になります。

なぜなら、加圧によって高温化がもたらされると、気液界面の様子が変化し、表面張力の維持すらできなくなる可能性があるからです。

実際、水は高温高圧下では、液体としての性質を保つことができません。ご承知のように100℃前後で蒸発してしまうので、こうなると表面張力を維持することすらできなくなります。

なかには、マイクロバブルの中では、数千気圧、数千度になるとかってな意見も散見されますが、これは、超音波の結果をそのまま借用した考えでしかありません。

(3)気泡圧壊説

 この説は、上記の節と関係しますが、マイクロバブルの中で超音波を発生させたときのような「高圧高温現象」が起き、その最後には、その圧力で爆発のような破壊現象が起こるという考え方です。

これも、その圧壊なるものの瞬間をとらえたもの、あるいは何らかの方法で観察した事例はありません。

唯一、それに関係するものは、マイクロバブルの発光現象であり、それについては私どもが明らかにしている事例しかありません。

しかし、マイクロバブルの発光現象は、その収縮の最後の過程で必ずしも起こるものではありません。

私どもの観察結果では、収縮の途中で発光現象が発生するのであり、マイクロバブルの収縮の最後では、それがスーッと消えて無くなるだけなのです。

ですから、現象的には、気泡が圧力で破壊されてしまう現象は存在しない、あるいは観察されていない、これが私の率直な見解であるといえます。

となると、いずれの説も不十分であり、きちんとは、マイクロバブルの溶解現象は解明できていないということになります。

ここに、マイクロバブルの奥深さ、本質的未解明の課題があるように思われます。

ですから、現象の解明から本質の解明へ、ここには非常に重要な課題が横たわっているのではないかと思います。

言い換えれば、マイクロバブルの溶解現象については、そのブレイクスルーによる新たな究明が求められているように思います(つづく)。

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