「教育については、なんといっても2010年に放映されたガンダムユニコーンの影響が強かったですね。あの主人公のバナージがアナハイムコーセンの学生だったことが注目されました」

「そうですよ。私がコーセン研究を開始して間もなくのことでした。あれは強烈でしたが、最初はだれも反応しませんでした。何でもそうですが、このような敏感な反応は外部からが常であり、内部ではなかなかピントこないのですよ」

「それでも、通の方々には一部で話題になったそうですね」

「そうですよ。私よりも先に話題にした方々が東北地方のコーセンにしました。ここでは熱狂的な方がおられ、その方を中心に学生のファンがいて、このバナージの登場を喜んでいました。それから南の方でも、ある変人の先生も、このことに注目されていました」

「変人?」

「この方はかなりの変人です。変人の私がいうのですから間違いありません」

「どこが変人なのですか?」

「見ればすぐにわかりますよ。まず、学生の時以来散髪屋にいったことがない」

「どうするのですか?頭の毛は・・・」

「ハサミでジョギジョギと自分で切ってしまうのです。外見を気にしなければ、頭の毛を刈ることぐらいたやすいことだいってのける輩です」

「散髪屋泣かせですね」

「なにしろ結婚式の時も散髪屋にいかなかったそうですから、根性入っていますよ」

「毎月5000円として、年に6万円、それを40年間とすると240万円、結構な節約ですね」

「何を計算しているのですか。このような方ばかりだと散髪屋は成り立っていきません。困ったものです。どうして散髪屋に行かなくなったかしっていますか?」

「知りません。どうしてなのでしょうか?」

「それが、学生時代に新聞の日曜版をなにげなく眺めていたら、俳優の宇野重吉さんのインタビュー記事があったそうです。

そのなかで、重吉さんが、『髪の毛なんてものはハサミでジョギジョギと切れば終わり、すぐにすみますよ。切った後は気にしなければよい』といったことに彼はえらく感動したのです。

『そうか、気にしなければよいのか』、こう思い、それ以来、自分で髪の毛を散髪し始めたですすよ変わっていますよ。両方とも」

少し興奮してきたのか、例によって前歯が少し前に出てきた。

「それから、まだ、ありますか?」

「ある、ある、タバコは一本も吸ったことがないそうですよ。これまた、私にとっては信じられないことです」

「それはそうでしょうね。あなたからタバコを取ってしまうと、いろいろな障害がでてくるでしょうね。まず、食っていけなくなります。そうすると、あなたの周辺の人たちにたちまち迷惑をかけてしまいます」

愛煙家の彼にとっては、一番いやなことをいわれて、むっとしたとたんに、さらに前歯が乗り出てきた。

「どうして、そんなに短絡的なことをいうのですか。タバコを吸わないことが、どうして私の生計や迷惑になるのですか?」

「それは、きまってますよ。簡単なことですよ。あなたがタバコを吸えなくなる、そうすると何が起こりますか?あなたは、原稿を書きながらタバコを吸いますよね。いや、タバコを吸いながら原稿を書く、こういったほうが正確かもしれません。

そのタバコが無くなったら、あなたはたちまちイライラして原稿が書けなくなります。ただでさえ遅いのにさらに遅くなります。いや、遅いどころか書けなくなります。

そうなると、たちまち、あなたは食っていけなくなくなるのです。そしたら、あなたの劇団、出版社、ファンみみなさまに迷惑をかけるようになる、これは火をみるよりも明らかなことです」

「そこまではっきりいわなくても・・・・・」

鬼の首を取ったように、さらにたたみかけた。

「あなたの人生は、タバコにかかっているのです。その点、その変人は、あなたと違って、タバコを1本も吸ったことが無い、これは見上げたものですよ。寅さんではないですが、ヤネ屋のふんどしですよ」

「そうなんですよ。このタバコの味を知らない人が今時いるのですから、これは変わっています。かなりの変人ですよ」

ここは、こうして賛同して言葉を合わせるしかなかった(つづく)。

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