3.地震の規模と強さの問題

さて、今回の地震については、その指標であるマグニチュードが三度修正されました。そのことだけを取り上げても、それが予想できなかったことであったことを連想させるに十分なことといえます。

たしかに、明治以来の地震の記録にはなかった規模と強さの地震であり、その記録にはなかった、それこそ未曾有の地震が起きたことは事実であり、そのことをとやかくいうつもりはありません。

しかし、ここであえてきちんと言っておかねばならないことは、その地震を地球規模で考えますと、それを超える地震は、最近のスマトラにおいて発生したのです。

このスマトラ沖地震は事実ですので、誰もが認めることです。しかし問題は、それと同じことが、日本列島近海においても起こりうるものとだれもが考えずに、その結果として、それを予知し、防ぐことができなかった、さらには、その対策が十分に取れなかったことにあります。

その意味で、「日本沈没」を予知し、事前に対策を促した「田所雄介博士」は、今の日本にいなかったということになります。

そして、その博士が居ないのですから、博士のもっとも大切な拠り所として「鋭く、大きな直観」も働くことはなかったのです。

地震発生後に、今回の地震に伴う津波のシミュレーション結果をテレビで発表していました。そして、今回起きたような波高が10mを超えるような津波が発生することを明らかにしていました。

これによって、計算上で、今回の津波を再現できたようですが、しかし、問題は、それを事前に、「もしや」と察知し、少しでも、その警告を行い、被害を軽減することを成し遂げることが少しでもできた方がより望ましかったのではないでしょうか。

未曾有の出来事、あるいは、誰も予見できないことを明らかにすることに関しては、さまざまな問題や批判を浴びることを覚悟しなければなりません。

そして、ヴェゲーナーや田所博士のように、自分が生きている間に、その仕事や学説を評価されることがないかもしれません。

しかし、そこに立ち止まってはいけない、今回の出来事は、そのことをしっかりと教えようとしているのではないかと思われます(つづく)。