「最悪の事態を想定しながら、それを回避するために最善を尽くす」、この言葉通りの対策がなされる必要がある、これが原発危機を迎えた今日の状況に最もふさわしいことのように思われます。

1号機から4号機のすべてにおいて、そのタービン室の地下に、約1m前後の水が溜まり、その放射能汚染の程度が基準値の1万倍を超えていることが明らかにされています。

また、原発から300m離れた海域においても、それと同一の高濃度汚染の測定結果が報じられ、さらには土壌、野菜、水道水までが汚染されることになり、これらを総合するとただならぬ汚染の深刻な拡大が確実に進行していることは明白なことです。

ところが、メディアに登場してくる政府関係者や学者は、その汚染度が深刻ではないというニュアンスの発言を繰り返しているばかりです。

そこで彼らの説明を分析してみあmしたが、そこに共通することは、「深刻な危機」に関する認識において重要な何かが欠如していることにあるのではないかと思うようになりました。

基準値の1万倍の汚染水が4つの原子炉設備内の地下に大量に存在し、それは燃料棒や原子炉内部の破壊に起因していることにほぼ間違いなく、そのことは指摘していても、そこに危機感が欠如しているのです。

たまりかねて、司会者が、「でも、それは深刻なことなんでしょう!」、こう尋ねると、ようやく、その危機を認識したのでしょうか、それには、さすがに真顔で「そうです」と応えていました。

危機の現実を正しく、そしてやさしく、わかりやすく解説するのが彼らの役割であるはずなのに、それが達成できていないのはなぜでしょうか?

いずれにしても、とてつもないことが起こり始めている、現在までは、そのプローグにすぎない、このような危機の認識を深める必要があると思われます(つづく)。