「東日本の復興において、そのキー・ワードは、農業、漁業、中小企業の3つでした。なかでも、漁業における先導的役割が小さくなく、漁業が水産業や加工業を誘発していました。

さらに、その従事者には農家の兼業者が多く、ここでは、漁業、水産業と農業がリンクし、その関連の中小企業も成立する、このような地場産業が成り立っていました」

「ところが、大地震と大津波で、それらが根こそぎ奪われることになりました。港の漁業施設と船が壊され、海と海岸部の陸地は瓦礫の山となりました。

長い間、わずか1日半で終わったキリキリ共和国をはじめ、この地方のことを見てきましたが、これほど打ちひしがれた惨状を目の前にしたのは初めてのことでした」

「たしかに、そうでした。この惨状のなかから、まず最初に立ち上がったのが漁民のみなさんでした」

「さすがですね。彼らは、海との闘いをいつも繰り広げてきましたので、それに立ち向かうようになるまでにあまり時間はかかりませんでした」

「港や内湾の陸地近くは壊滅しましたが、その沖は無事であり、その先には、黒潮と親潮がぶっつかって天然の豊かな漁場がありました。その黒潮にはカツオが乗って北上し、親潮からはサンマがもたらされました」

「その豊かな海の資源が、長い間にわたって東京をはじめとする関東ののみなさんの食卓に上り続けたのでした」

「2011年3月11日の災禍の直後に、まず、大槌漁業協同組合が立ち上がりました。

組合が、共同で船を買い、魚を獲ろうという決定を行い、組合員の窮地を救おうとしたのです。大切なことは、これで組合員の方々の心が一つになったことでした」

「これで、海と闘う魚民たちが、復活したのです。しかも、この組合の決定が、組合員一人一人を励ましただけでなく、他の組合にも大きな刺激を与えたのでした」

「やはり、困ったときに、みなさんが力を合わせる姿は、すばらしく、美しいものですね!」

「これで、多くのみなさんが勇気づけられましたが、私も、その一人でした。何せ、この前の挫折から、なかなか抜け出すことができずに、その環境と条件づくりが、なんとかできないかと、その可能性を探っていました」

「そんなときに、あなたに会い、その漁業再生の研究課題が示され、それをどう実現するか、これを真剣に究明していくことになりました」(つづく)


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