母親の体内から赤ちゃんが生まれる、これは、新しい命の誕生と旅立ちを意味します。そして、その生命エネルギーの源は母乳という形態で外部補給されるようになります。

聞くところによれば、赤ちゃんの胃袋は卵にも満たない大きさだそうですので、母乳を飲んでもすぐにお腹が空いて泣き出します。

それから、「しっこ」も「うんち」も、自分では処理できませんので、「おむつ」で対応するしかありません。

ですから、健康な赤ん坊が泣くときは、お腹が空いたときか、「しっこ」、「うんち」のときかしかありません。

しかも、生まれたてのときは、これらを1~2時間おきに繰り返しますので、母親、父親は、このケアに明けくれます。

どんなに眠くても、母親は赤ちゃんに母乳をやり続け、父親は、その支援をします。この子育てを通して、その親も鍛えられていきます。

さて、幸いなことに、その緑子に出会うことになり、人はどのように成長し、発達していくのかを詳しく観察することができるようになりました。

生まれてすぐの赤ん坊は、すやすやとよく寝ています。お腹が膨らんで、おむつが汚れていないときはたいてい気持ちよく寝ています。

たまに、目を覚ましても、外部刺激には生理的に反応するものの、自覚的なものはほとんど表現することはできません。

そこで、赤ん坊としっかり対話するために、親たちは、真正面から、その目を見つめながら、語りかけます。このしっかり目をみながら対話する行為、これが赤ん坊の脳を刺激するようで、とても大切なことといわれています。

これは、大人の世界でも同じことで、相手をしっかり見つめて話をすることは、赤ん坊のときから必要で有効なことなのです。

この段階で、私が注目したのは、赤ん坊がいつ笑い始めるかということでした。これについては、生まれた直後から「生理的笑い」という現象があり、この時期の赤ん坊を観察していると、その笑いの顔になることがあります。

しかし、この笑いは、ほとんど脳の発達とは関係なく、生まれたての赤ん坊は本当に笑うことができないのです。

すなわち、生まれたての赤ん坊は、外部の音や刺激に反応すること、恐れや不快を感じることはできても、人間らしく「笑う」という行為を遂行することはできないのです。

それでも、何かを感じ取っているはずだ、このように思うこともあります。

これについては、意外で新たな経験をすることになりました(つづく)。

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