真正面から、緑子の目をじっと見ながら、やさしく唄いかける、この働きかけは非常に重要でした。

じっと、歌い手の目を見ながら、歌を聞いているのです。その目は瞬きもせず、前を向いたままで静かに耳を傾けていました。

「うそでしょう、そんなことはありえない」

周囲は、みなそう思っていました。そこで、わさわさしている時、泣きそうになったとき、それこそいろいろな状態で、この歌の効果を試してみました。

すると、どうでしょう。いずれの場合も、それまでの動作とは関係なしに、すぐに耳を傾け、じっと集中して聞いているではありませんか。

今度は、周囲が反対に驚くばかりでした。

これが、生まれて20日目の赤ん坊において起きた現象でした。

「すごいね、歌の力は! この子がみごとに反応している。すばらしい!」

私も、目の前で起きていることを認めざるをえなくなり、思わず、このように驚嘆してしまいました。

こうして、集中力を鍛えると、歌だけでなく、語りや絵本を読んで聞かせることにも反応することが明らかになりました。

やはり、赤ん坊は、自分でしゃべることはできなくても、上質のしっかりした情報を受け入れて学ぼうとしているのですね(つづく)。

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