原発危機は、依然として収束せず、むしろ進行しているのではないか、そのように考えざるをえない状況が伝えられています。

この危機には、原発自身の現象的な問題と、それに対応する人為的問題の2つがあるようです。

前者においては、第1に、福島第1原発1号機の原子炉内において、その燃料棒のかなりの部分が溶融してメルトダウンが起きていることを発表せざるをえなくなったことです。

この経緯は、圧力容器の水位計が正常に働いていないことが判明し、それを正常にしたら、格納容器内の水位が間違っていましたということのようです。

その結果、ほとんどの燃料棒が水没していたはずなにの、実際の圧力容器内には底から4mの水位しかなかったというのですから、燃料棒の大半は溶融し続けていたという恐ろしい事態が進行していたのです。

しかも、この水位計が正常に働くように調整したら、燃料棒のほとんどが水中にはなく、空気中にさらされていて、それでそのほとんどが溶融していたことが判明したというのですから、これは大変粗雑でお粗末な話といわざるをえません。

これまでの当事者の説明において、燃料の溶融については、最初は75%が溶けたといい、その後は55%程度と修正を行っていました。しかも、その溶融は燃料棒のかけら程度のものが落ちたにすぎないといわれていました。

75%も溶けたと言いながら、「かけら」しか落ちていないというのもおかしな話だと思っていましたが、今回の発表で、これまでの説明がほとんど正しくなかったことが明らかになりました。

この深刻な事態が判明し、細野首相補佐官は、「圧力容器内に水がある程度あって、炉心もここまでの状況ではないと思っていた。認識が甘かった」と、謝罪されたそうです。

結果的に、この担当の補佐官に、このような可能性があることをきちんとした説明されていなかったのではないかと思われます。

しかも、この溶融した炉心の塊が圧力容器の底部に塊状になって堆積し、その一部が格納容器中にも落下しているというのですから、これは、素人の私にとっても、とても大変なことが起きているという深刻さを理解することができます。

第2の問題は、この深刻な炉心、圧力容器、格納容器に対する緊急対策として、大量の水を格納容器内に注入し、圧力容器を丸ごと冷やしてしまおうという作戦が進行していましたが、そのとてつもない大量の汚染水がどこにいってしまったかが「わからない」と発表されたことにあります。

この説明については、小さくない「唖然」さを覚えました。

それは、注入開始直後から、どこにも水位上昇がなければ、どこか、すなわち、地下水か海か、それとも原発地下内にある空間に溜まっているかしかなく、「わかりません」という返答は、そのいずれかについて、きちんと検証を行っていないことを露わにしたことを意味するのだと思います。

すでに、この1号機内に注入した水は約1万トンです。その膨大な汚染水が、どこかに流れ出しているか、溜まっているのです。これは、これからとてつもない大変な事態が起こり続けることを示しているようで心配してるのです。

その放射能汚染水を処理できるようになるからと外国の援助をしたという話もありますが、その処理には1トン当たり2億円もかかるようです。

仮に1万トンを処理するとしますと、その金額は2兆円ですから、気の遠くなるような話であり、それこそ湯水のようにお金を使うことになりそうです(つづく)。

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