海水において大量のマイクロバブルが発生する理由は、その成分に依存しているわけではありません。

そのことは、海水と同じ成分を有している生理食塩水と自然の海水の比較するとすぐに明らかになります。前者においては、マイクロバブルの発生量が少なく、後者の方が圧倒的に多いことが容易に観察できるからです。

となると、自然海水において大量のマイクロバブルが発生する理由は、その海水中に含まれる有機物の量が違うことにあります。

この有機物が含まれることによって,見かけ状の粘性が下がり,マイクロバブルをより大量発生することになります.

また,福井県の東尋坊でよく見かける光景ですが,その泡の寿命も長くなり,泡が織りなすふしぎな光景が見られるようになるのです.

また,通常の自然海域にはマイクロバブルは存在しません.それは強烈なせん断作用が存在しないからです.

カナダの学者の観察によれば,浜の近くで計測したマイクロバブルの直径は70マイクロメートル程度であったという観察結果があります.

これに対し,岸壁に潮流が衝突するところ,小笠原の特殊な海中空洞にはマイクロバブルがあり,そこには驚異的な数のウニやイセエビが生息していたという事例も観察されています.

そこで,海水マイクロバブルには何か非常に重要な特徴がある,このような視点から,その特性を明らかにしていく必要があると思っています.

また,淡水におけるマイクロバブルとの本質的な相異は,マイクロバブルの発生量が大きく異なることを指摘しておきましたが,この発生量の多さが逆に,海水マイクロバブル水の性質を左右してしまうという側面もあります.

すなわち,発生量の少ない淡水とは異なる物理化学的特性を有しているともいえるのです.

それから,海水中には電界物質が含まれていますので,発生したマイクロバブルの負電位は淡水のマイクロバブルと比較して極端に高いことも重要な性質であるといえます.

この負電位の高さが生物や環境に重要な影響を与える可能性があることにも注目する必要があると思います.

また,海水の水素イオン濃度は淡水よりもやや高いのですが,マイクロバブルを発生させると淡水のときほど急には,その水素イオン濃度が増加するという現象は起きません.これも海水マイクロバブル水のふしぎな性質といえます.

このように,海水マイクロバブルと海水マイクロバブル水には,注目すべき重要な性質がいくつもありますが,それらについては詳しく究明がなされていないと思われますので,これからの研究の発展が期待されています.

私も,その隊列に加わり,蛍雪を重ねたいと思っています(つづく).