調査員の方を見送った後で、今回の東日本大震災支援プログラムが持つ意味をじっくり考えてみました。

まず、これは東日本大震災に関する緊急支援の公募であり、たしか120数件の応募があったとのことでした。

もともと、この公募の主旨は、すでに実績があり、それを用いて復興支援に確実に役立つものであることが優先されることにありました。

いわば、すぐに対応できて、震災後における社会経済的価値に富む課題を背負っての競い合い、アイデア対決が、その審査でなされたのだと思います。

そのとき、震災・津波の大災禍のなかで、何が最も有効か、このアイデアに関する、「鋭く、大きな直観(intuition)」が必要とされたのではないでしょうか。

そして、どのようなアイデアで勝負しようかと考えたあげく、ここは、もっとも確実で、実績がある海の浄化問題がよいということを思いつきました。

「そうか、私には、これがあったのだ」と、このアイデアを思い浮かんだ後は、ストンと妙に納得する気持ちになりました。

この推測の通り、海の問題を取り上げ、マイクロバブル技術を適用しようとしたことが評価されたようで、その候補に残ったとのことでした。

「海の蘇生のことを取り上げた応募はあったのですか?」

こう尋ねると、ほとんどなかった、唯一のテーマだったとのことだそうで、この点でまず他との差別化に成功したのだと思いました。

そこで、次に問われたのが有用性です。実際に、あの広い海域で何をどうするのか、ここに現実性と有効性がなければ、絵に描いた餅で終わってしまいます。

そこで、広島カキ養殖、北海道噴火湾のホタテ養殖、三重英虞湾の真珠養殖などの実績をしっかり示すことが大切だと思い、これらに説得力を持たせることにしました。

思えば、何もわからずに、「頼みの綱はマイクロバブル」と思って、無我夢中で取り組んできたことが、今も脳裏に蘇ってきます。

幸運にも、これらに成功し、少なくない実績を得たことが、今度は、この復興支援に結び付こうとしているのだと深く認識できました。

「これは、大変なことになりそうだ!」

「今度は、もっと、それを大規模に発展させ、東日本大震災で被害を受けた方々を救う必要がある!」

いまだ、「候補」の段階でしかなかったのですが、このような思いが、幾度も脳裏を過っていきました。

「さて、これから、どうなっていくのであろうか?」。

調査員を見送った後で、遠望した瀬戸内海が明るく見えていました(つづく)。


大成京子CD「虹のかなたに」より 「愛燦燦」


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