昨日は、2つのショッキングな報道がありました。

そのひとつは、東京の子どもを持つ母親が、自分で専門家に依頼し、子どもが遊んでいる公園での放射能汚染を調査してもらったという報道でした。

その数値によれば、放射能は、基準値の約4倍の値を示していました。また、先日のテレビ放送でもスタジオ内で放射能が計測され、その値も2~3倍の高い値を示していました。

ここには、じわじわと放射能汚染が広がっている実態があります。

その母親は、東京都に対してきちんと調査をするように依頼されたそうで、その都のコメントも放送されていました。

さて、この母親の行為は何を意味するか、これが重要です。

「ただちに影響することはありません」、「心配いりません」、「家族そろって汚染野菜を食べても大丈夫です」、このようなことをいい、本当のことを語らないから、その心配が募り、このような行動になってしまう、これこそ心配しなければならないことといえます。

2つ目は、もっと強烈で、深刻なものでした。全国の16都道府県における下水処理場の汚泥から放射能が検出され、それを償却処分できない、再利用できないという報道が詳しくなされたことでした。

しかも、その汚泥の放射能濃度は、汚泥1kgあた2~4万ベクレル、事故が起きた福島県では、44万ベクレルというのですから、これは大変な汚染といえます。

下水処理場の施設内においては、もっと高濃度汚染になってしまい、立ち入り禁止区域ができてしまったところもあるようです。

周知のように、下水処理場の汚水は、降雨によって地上の汚濁物を拾い集めてきます。その時に、地上の放射能汚染物質を集めてしまいますので、それが高濃度になって汚泥に現れてしまうのです。

その広がりは、関東から北海道の16都道府県、そのうち山形県と宮城県、岩手県は空白になっていて、後二者では計測がなされなかったということですから、実質は18都道府県の下水中での放射能汚染が存在するということになります。

この高濃度汚染された汚泥の処理に困って、捨てるところがない、これが現在の状況のようで、今後数日で、それこそ、どこに保管するところがなく、立ち往生してしまうという現場の声も寄せられていました。

さて、ここで注意しなければならないことは、汚泥やその焼却灰のみが汚染されているわけではないということです。

汚泥を絞る水の中にも、それと同じくらいの放射能汚染物質が入っているのです。しかも、これが、毎日、その処理場から放流されているのです。

下水処理場は、それこそ地上や家庭から、そして工場から排水を集めて処理するところですが、今回はそれとともに放射能物質も集めてきたのです。

そして、その放射能物質を拾い集めて汚泥にし、それを絞った水も同時に川に流しているのです。

ですから、その下流の河川や海が、再度、放射能汚染物質で汚れることが起こっているのです。これは途方もないことだといえます。

さらに、下水の処理の主役は微生物です。この微生物が放射能汚染されていることも自明のことといえます。

下水から出てくる汚泥のほとんどは、この微生物の死骸であり、汚泥が放射能で汚染されていることは、この微生物が汚染されているとみなしてよいことなのです。

ここで、大変重要なことは、その微生物や細菌類が放射能で汚染されたらどうなるかという問題が出現していることです。

当然のことながら、この汚染で微生物や細菌が弱体化や異常が起こることが予想されますので、それがどの程度の影響を与えるのか、この問題が詳しく調べられる必要があると思います。

それにしても、この18都道府県の下水汚泥における放射能汚染の問題は、日本の約3分の1が確実に汚染されていることを示唆しており、容易ならざる事態であるといわざるをえません。

予想した通り、日本列島には深刻な現象が起こり始めている、このような印象を強めた2つの報道でした。

これで、安全で安心の場所が、かなり奪われてしまった、このように思いました(つづく)。

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