大船渡湾に設置された104機のマイクロバブル発生装置の稼働は、本日で28日を迎えました。

その稼働日以来の総供給量は約8000立方メートルを超え、その生物適応物質としての空気が海中へ溶解していることになります。

しかも、大船渡湾は浅く、風が吹き、そして干満の際に起こる潮流による海水交換によって、海水は流動し、拡散していきます。

海からの入り潮の際には、塩分量が多い重い水が入ってきますので、より低い水域での流入が起きます。

この時、川からの水も流入する大船渡湾では、淡水混じりの海水が上部にあります。

これに対し、引き潮の場合は。上部から引き始めますので、その反動で深部の海水はより湾奥へ向かいます。

こうして、上下と水平方向の海水交換を伴いながら、湾内の海水は混合と流動を繰り返すのです。

この時、大船渡湾の水深が問題になります。この湾内の平均水深は約22mです。ついでにいえば、横幅は2km、湾の奥行きは10kmです。

これを鳥瞰しますと、非常に浅くて狭い海域が、湾奥方向に広がっていると想像したらよいでしょう。

同じような水深の湾は、東京湾、広島湾などがありますが、この程度の水深の湾の特徴は、水深方向に混合しやすいことにあります。

すなわち、大船渡湾が適当に浅いために、水深方向の混合が起こりやすく、しかも、それが湾奥方向に長いために、湾奥から湾口までの混合が、干満においてなされたきたことで、カキ、ホタテなどの水産養殖に適した独特の漁場を提供してきたのです。

この湾で特産の「赤崎カキ」は、このような海洋環境から生まれてきたのです。

ですから、この海域でのマイクロバブルの連続発生は、次の現象をもたらすことを示唆しています。

①マイクロバブルは水深方向のほぼ全域に拡散を伴いながら、干満差や風によって湾内に広く流動拡散していく。

②その際、マイクロバブルとしての存在領域は、装置付近から20~40m半径程度にとどまるが、その拡散過程でマイクロバブルのほとんどは収縮して海水中に溶解し、マイクロバブル海水としての流動拡散の形態に移行する。

すでに、この示唆を裏付けるデータが取れ始めていますが、この際ですから、ついでに日本の閉鎖海域についても触れておきましょう(つづく)。

大船渡線-2

破壊された大船渡線(YO氏撮影、2011.6.29)