いよいよ、みなさんを目の前にしてのデモ実験も佳境に入ってきて、彼らの見る目も変わってきました。

まさに、これを食い入るような目つきというのでしょう。

私としては、直にマイクロバブルのことをよく理解していただく絶好の機会を得たことになりますので、知恵の絞りどころでもありました。

そこで、マイクロバブルの本領を最高に発揮させる実験を実際に見せることにしましょう。

その第1は、マイクロバブルをカキに与える実験です。船の上には、これから耳吊りするという1年半もののカキが負袋に入れられていました。

それをお借りし実験を行うことにしました。

「ここにカキがあります。これにマイクロバブルを与えることにしますが、マイクロバブルを与える前の状態をよく見ておきましょう。

カキは、海水中で2つの代謝活動を行います。カキは、海水を吸い込み、その鰓の部分に海水を吹きかけます。この鰓で酸素を取り込む呼吸を行います。

カキを元気にするには、この海水の取り込みの量を増やす必要があります。そのためには、口を大きく開いて海水を取り込む必要があります。

もう一つは血管内への取り込みです。カキの血液は、海水です。血管内を海水が通るのです。これを開放系の血管といいます。

この血液は、カキの心臓を通して取り込まれ、流されていきます。この血液の量を増やすことでカキは代謝活動を活発にすることができるのです。

結果的に、たくさんの餌を取り込み、それを血肉化して成長するようになるのです」

こういうと、みなさんは、水槽内のカキの様子をますますよく眺めていました。

「現在は、海水中に入れただけですから、口は開いていません。こうして、動かす時に衝撃を与えていますので、それこそ何時間も口を開けることはありません。

ところが、マイクロバブルを与えると、すぐに口が開いてきます。よく、ご覧ください」

ますます、みなさんの目は袋の中のカキに集まってきました。テレビカメラにも写しやすいように、カキの袋を水面近くにまで上げていただきました。

それからマイクロバブルを発生させ、数分たってから、マイクロバブルを停止しました。

「さて、どうでしょうか、カキは口を開けていますか?」

「開いてる、開いている!」

誰よりも先に、先ほどのテレビ局のディレクターが叫びました。もう取材どころではありません。完全に見入っていました。

「みなさん、この開口が、カキがマイクロバブルに反応した証拠なのです。まず、カキが開口するかどうか、これによっても、本物のマイクロバブルであるかどうかを確かめることができます。

もちろん、偽物のマイクロバブルでは、このような開口は起こりません。本物かどうかは、カキがこうして教えてくれるのです。

また、この開口が起こったときに、カキの血流が2~3倍に増大するのです。この血流促進が起こらないとカキの生理活性作用が生まれないのです。

加圧溶解式といわれる装置から発生した白い泡には、この生理活性作用がほとんどありません。また、高速せん断式といわれる方式の装置から発生したマイクロバブルにおいても、この血流促進はわずかしか起こりません。

みなさん、カキやホタテの成長には、この生理活性作用が重要です」

こういうと、みなさん、ますます納得されているようでした(つづく)。

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震災で海岸線が地盤沈下し、海面下になってために、新たに建設された臨時の道路であり、左側は。沈んでしまった港の一部が見える(筆者撮影)