黄昏の気仙沼を出て、車で大船渡に向かいました。今夜の宿泊も、お馴染みの下宿屋の「光潮荘」です。

すっかり暗くなって宿舎に着き、岩手名物の魚料理をいただくことができました。

翌朝は、よく晴れて絶好の観測日和でした。

すでに、水温が下がり始め、水質の浄化とともにカキの成長促進が期待される季節が始まっているのではないかと密かな期待を抱いていました。

午前中は、マイクロバブル発生装置104機が順調に稼働していることを確かめ(本日で、マイクロバブルを供給し始めて82日目、その総供給量は、23000立方メートルになりました)、その効果を詳しく調べることにしました。

この日は、天気が良く、太陽の陽射しも強かったので半袖状態でも心地よく、私も、午後からの視察団受け入れの連絡を済ませて船に乗り込みました。

午前中に水質観測を済ませ、昼からは、大勢の視察団の視察をこなし、さらに、その宿の手配などを行い、満潮時の午後3時までに、それらをすべて済ます予定で忙しく対応することになりました。

午後からの視察は、科学技術振興機構の社会技術研究開発センターのトップの方々他でした。

「マイクロバブル発生装置の稼働後2カ月で、マイクロバブルの効果がある程度わかる」と、私が、その稼働日の記者会見で述べていたことが契機となり、その効果を実際に確かめたいと思っておられたようで、それが実現することになりました。

この東日本大震災支援プログラムは、それこそ、被災者のみなさまの生活支援を実際に行うことが可能となる研究成果をあげられるかどうかが問われますので、それこそ、その社会実装の現場では、その成果がそのまま問われることになります。

困難が山積している被災の実態をそのまま受け入れ、同時に、その困難を乗り越える苦しみの受容も覚悟し、それらを被災者のみなさんと共同して解決していくことが根本的に問われるのです。

その意味で、ありのままを、すなわち、「マイクロバブルのすべて」を、そのまま示すこと以外によい方法はありません。

午後からは、それこそ、これらのトップの方々を始めとしていろいろな方々に乗船していただき、そのマイクロバブルの成果であるカキの実態を視察していただきました。

幸いなことに、これらのほとんどの方々がカキを好物だとのことで、その美味しさを実際に舌で確かめていただきました。

カキは順調に生育し、「マイクロバブル育ちの立派なカキ」となっていました。

夕食は、光潮荘の女将さんの心の籠った魚料理が出て、みなさん、とても喜ばれていました。

楽しい夕食を済ませ、私どもは、大船渡湾の東側を山越えして、Sさんに紹介していただいた「民宿」に向かいました。

ここは、大船渡に駐在している警察関係の方々が長期宿泊されているところで、なかなかその予約が難しいところでした。

「民宿」と聞いていたものの、実際には立派な宿泊施設であり、その特別室に通されました。

大きな窓の向こうには海岸が見え、その波打ち際はほとんど今回の津波で破壊されていました。この施設は高台にあったために、その一部しか破壊されなかったそうですが、それにしても見事な光景で目を見張りました。

この海の様子を眺めながら一夜を明かすことになり、「これは、光潮荘よりはるかによい景色だ!」と思って、私の予約分を視察団に譲ったかいがあったと振り返りました。

二人とも、朝からの観測、視察団受け入れで大いに疲れていたのでしょう。しばらく、窓の外の見事な景色に見とれながら、そのまま風呂にも入らず、うとうとと寝入っていました。

真夜中になって、波の音で目が覚め、外に出てしばらく海を眺めていました。

「これで峠を越えたられたのかもしれない。これからは、この坂道を下ることができそうだ!」

ここちよい、そして力強い潮騒は、少しも途切れることなく聞こえてきていました(1250回記念の稿はおわり)。

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廣洋館からの景色、YO氏撮影。