出雲大社の特別参拝を済ませて、宍道湖の沿岸を西に向かいました。宍道湖の水質は昨年からさらに悪化し、緑色のアオコが多数発生したようで、シジミの幼生の定着率が非常に悪くなったそうです。

また、宍道湖の沿岸部では、砂地の上に葦原の部分が減り、水生植物が繁茂するようになり、それだけシジミが生息する水底の砂原の部分が減少しています。

これと同じことが、すでに琵琶湖でも発生しています。

琵琶湖から流れ出した水は、最終的に淀川になります。この流れ始めの部分で、昔はよいシジミたくさん獲れていました。

ところが最近になって、シジミが住む砂地の部分が減少して、代わりに水生植物が大量に繁茂しています。

先日は、この様子がテレビ報道され、この植物繁茂でシジミが激減したと地元の漁師さんが仰られていました。

もしかして、これと同じことが宍道湖でも起こり始めたのではないかという小さくない心配が過りました。

すでに、宍道湖では、その中央部においてシジミが獲れなくなって久しく、その周辺部でしかシジミは生息していません。

この周辺部の砂地に植物が繁茂し始めると、ますますシジミが生息する地域が狭まれていくのです。

これは、このまま放置できないようなゆゆしき事態へと進展する可能性があるように思われます。

もともと、この地方は海で東西がつながっていて、それが矢や隆起して、今の地域が形成されています。そして、斐伊川の肥沃な栄養を含む淡水が、そこに流れ込み宍道湖が形成されていきました。

シジミ漁も、この宍道湖の形成とともに発生してきたのですが、それは浅くて広い宍道湖と肥沃な栄養を運び続ける斐伊川によって成り立ってきたのです。

全国的なシジミ漁においては、その最後の砦ともいえる宍道湖が、徐々に衰退を重ねているのです。

とくに、昨年夏の異常高温によって、その衰退が歩を早めることになったのではないかと予測していましたが、事態は、この予測の通りに進行しているようです。

これに抗するしっかりした対策を考える必要があるように思われます。

車は、この宍道湖を右手に見ながら、さらに西に向かって進みました。しばらくして、立派な国民宿舎の前に到着、すでにみなさんが待っておられ、挨拶をしてすぐに港に向かい、船に乗り込みました。

この港からは、一本の川でつながり、そのやや上流に目指す「神西湖」がありました。この小さな湖と川には、海水が塩水楔によって遡上し、それが天然の素晴らしいシジミ漁の場として成り立ってきました。

しかし、この塩分遡上の量が多く、そのためにイガイが大量発生したことで、その川の河口には塩分調節のための堰が昨年建設されたとの説明を受けました。

この川を遡上する船の上で詳しく、最近のシジミ漁の具合を聞かせていただきました。

「やはり、昨年の夏は駄目だったですか?」

こういうと、昨年は極端にシジミの収穫量が減った異常な年だったとのことでした。ダム貯水池の無産の水域の異常な増加、陸奥湾におけるホタテ漁の壊滅的被害、二枚貝漁の全国的不振、この一連の現象の中に、この神西湖のシジミ漁も含まれていました。

かつては、大量にシジミが獲れ、しかも大粒のシジミに成長し、宍道湖よりも成長が速くておいしい、これが現地の漁師さんの自慢のようでした。

船は、川を遡上し、いよいよ神西湖が前方に姿を現しました。四方4kmの小さな湖、自然がそのまま残された湖のようでした。

湖面から吹いてくる風が涼しく、すがすがしく感じました(つづく)。

Usagi