8月3日に、合計で104機のマイクロバブル発生装置を設置して、大量のマイクロバブルを発生させてから、本日で114日目を迎えました。そのマイクロバブルの総発生量は、じつに約32800立方メートルという膨大な量になりました。

100分の2~3mm程度のマイクロバブルが、このように大量に海水中に供給され続けてきた実験は、もちろん、国内外で初めてのことです。

このように、とてつもない量のマイクロバブルを発生した経験はなかったのですから、その効果についても予測ができないことがいくつも起こるのではないかと思っていましたが、実際に、その通りのことが起き続きました。

まず、カキの状態ですが、7月末の段階では、わずかに残っていた稚貝が成長して出荷できるのは、早くても再来年の秋、すなわち2013年11月の出荷が検討されていたのです。

この状況を何とか打開して、2012年11月に早めたい、これがSさんらの願望でもありました。

これに対し、私の予測は9月末になれば、すなわち、8月初めから約2カ月経過した時点で、その予測が可能になるのではないかと思っていました。

そこで、本調査は、7月末の段階、すなわち、マイクロバブル発生前のカキの状態を観察することから始まりました。

この時点でのカキはまだ小さく、しかし、それにもかかわらず、そのほとんどが産卵状態にあり、それが放卵を開始する直前の状態でもありました。

水温が18℃以上になって、それが一定継続しますと、産卵状態から放卵へと移行していくのです。

この産卵の様子は、剥いたカキを2つに輪切りし、それを海水につけて、その切り口部分から卵がミルクのように流れ出すことで確かめられますので、それを観察したのが実験開始前の状態でした。

このとき、カキの産卵した部分は黄色を含む褐色を呈することを特徴としていました。

それゆえ、マイクロバブルを供給開始した時点では、このまま産卵から放卵へと向かうのか、それとも放卵を防ぎ、産卵した部分が身入りへと変化するか、非常に微妙な段階にきていました。

そこで、まず、マイクロバブルの効果として、この放卵を食い止めて身入りができるかどうか、そのことがすぐに問われることになりました。

周知のように、8月には、稚貝であろうとも、日本中のカキや二枚貝が産卵し、放卵することが知られていますので、ここ大船渡湾においても、産卵から放卵へと向かうのが、それまでの常識だったのです。

しかし、私のマイクロバブル実験においては、広島江田島湾において、産卵から、放卵防止、そして身入りへと移行させた経験がありましたので、それが大船渡湾でも起こるかどうかを確かめることが重要な課題として存在していたのです。

そして、実験開始から約2カ月で、その産卵から放卵への移行が阻止されていたことを確かめたのでした。

そのことは、2カ月前と同じように、剥いたカキを2つに切断し、それを海水中で揺らすことで確かめることができました。

このとき、2カ月前のミルクのように拡散していた卵は、ほんのわずかしか流れず、その卵の部分を輪切りにした部分が固まっていることを、その断面から核にすることができました。

この産卵制御の効果については、現場の漁師のみなさん、あるいは気仙沼など他の地域の漁師のみなさんにとっては、とても信じがたいことのようでした。

その非常識の制御をマイクロバブルが可能したことは間違いなく、江田島湾の事例に続いて、同じ産卵制御が、大船渡湾でも二番目の事例として起ったことをたしかめることができました。

江田島湾においては、マイクロバブルの供給期間において約5カ月であり、今回の大船渡湾では、その期間が約2カ月弱ですから、約半分以下で、それが起きたことになります。

しかし、今回はマイクロバブルの発生量において後者は前者の350倍の規模ですから、その産卵制御が実現されたとしても不思議なことではないと理解させていただきました。

すなわち、大船渡湾の場合では、マイクロバブルの発生量が圧倒的に勝った結果ともいえるのではないかと思っています。

そこで、この産卵制御の有無が何をもたらしたのか、それが次の重要な問題となりました(つづく)。

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カキのむき身を捨てるのを待っているカモメ(YO氏撮影、2011年9月4日)