いまだ,転んだ時の手足の傷が癒えず,痛みも残っているので,同じように,つまり,同じ時間帯に起きて,風呂に入り,散歩に出かけようか,「今度は転ばないぞ!」と思いかけましたが,その決行は実現しませんでした.

優柔不断にも,あれこれ考えているうちに,朝が明けてしまったからでした.

さて,昨日は災いばかりの話でした.いまだ福には転じていませんので,その続きを書かせていただきます.

2台のマイクロバブル発生装置で,マイクロバブルを大量に発生させて,しかも,風呂水のなかに顔を浸け,手足の患部と同時に鼻の下にもマイクロバブルを大量に当てて,その具合を試す,これを敢行しました.

すでに,少し前に,このマイクロバブル供給を行って,その効果を確かめていますので,それをより大規模に行っただけのことでしたが,それでも,私にとっては勇気のいることでした.

その目的は,傷口をふさぎ,痛みを和らげることでしたので,講義のために家を出るまでの30分間,マイクロバブルを与え続けたのでした.

しかし,その時間が短かったからでしょうか,たしかに,その効果はかなりあったのですが,十分ではありませんでした(しかし,この問題は非常に重要な研究課題になりうるのではないかというヒントを得たことになりました).

風呂から出て鏡をみると,やはり,そこからじわじわと出血してくるので,やむなく「バンドエイド」を貼ることにしました.

これで,どこかの絆創膏大臣様と同じ顔になってしまいました.おまけに,鼻の頭も薄く切れて血が滲み,赤鼻になっています.

「学生たちに笑われるであろうな!」

こう思いながら,そうであれば,「こちらから先手を打ってやろう!どう先制パンチを加えるか? 黙って学生たちの笑いに耐え忍ぶわけにはいかない」と,浅知恵を巡らしました.

教室に出向くと,すでに,学生たちは,私の顔の異変を察知して心配顔の学生もいましたが,やはり,予想通りの「笑いの教室」になってしまいました.

「今朝は,なぜか暗いうちから目が覚めて,電気もつけずに電気カミソリで髭を剃りました.そしたら,電気カミソリが暴れ始めて,ここ(鼻の下)を怪我をしました.ここで済むかと思ったら,手のひらも脚の膝もやられてしまいました」

手のひらの傷をみせながら,こういうと,学生たちがますますにやにやし,笑いの渦がうまれました.私の「嘘」を認識し始めたからでした.

「みなさん,暗いうちから,電気もつけずに髭を剃ってはいけませんよ!」

これで,私の絆創膏顔の件は一件落着,「よし,やったぞ」と思いながら,すぐにいつもの小テストに入っていきました.

冒頭で気分がよくなったせいでしょうか,講義の合間に,次のようにいいました.

「あなた方は,とても優秀です.そのことをよく自覚しないといけませんよ.なぜなら,今私が教えていることは,大学の3年生に教えることですよ.

みなさんとは2年も違うのですよ.それでも,みなさんは,その内容を難なく理解し,身につけているではないですか.

そのことを,私は,国立大学に出かけていって,それこそ,隅から隅まで調査し,おまけに,学生たちにも面談し何度も確かめてきました.

ですから,あなた方が優秀なのは間違いありません.問題は,そのことをあなた方が理解していないところにあります」

こういうと,学生たちは目を丸くして自覚し始めました.もう絆創膏の顔も関係なくなっていました.

「今日は,この顔のおかげで先手を打つことができた.よかった!」

次の午後からの講義においても,この作戦が功を奏し,「笑いの教室」を再現することができました.

しかし,この災い,まだまだ,福には転じていません.それから,そのアクシデントが起きた朝の散歩の再現もできていません.

ただ,実行できたのは,受け身の「笑い」に甘んじることなく,その先制攻撃の笑いで難局を切り抜けただけに過ぎず,これを「福」に持っていくことができないままでいました.

そしたら,その夜に,劇作家の倉本聰さんがテレビに出ていて,その番組の終わりごろに,ぽろっとアナウンサーの質問に次のように返事をされていました.

「近頃は,どんな番組や映画を観ておられますか?」

「テレビはほとんど見ません.映画も最近のものは見ません.観るのは昔のものばかりです」

「一番よく観られるのは?」

「『すばらし・・・・』です」

さっそく,このDVDをアマゾンで注文しました.なにか,福に転じる気配を感じたからでした(つづく).

Gohhojigazou1