「今日は寒くなる。雪が降っています」

と出がけに聞いて、朝一番の仕事を済ませてから、新幹線に飛び乗りました。

「今日の京都は寒いだろうな!」

こう思いながら、急ぎの文書に目を通していました。

まだ、終わらないといいますか、それどころか最後のクライマックスを迎えて、一応書き終えた内容を推敲して、さらに書きなおす、という作業段階に到達していました。

今回は、それをT先生と共同で行っていますので、強き味方を得た気分になっています。

互いに忙しい中、時間を細かくやりくりして対応していますので、これもまた楽し、というところでしょうか。

奇しくも、本日は彼も東北のY大学で講演をなされると聞いていましたので、私と同じになりました。

この文書の推敲を終え、それからメイルチェック。

だいぶ慣れてきて、どの駅を過ぎた、どのあたりだとメイルを連続して送受信できるかを把握してますので、それこそ、送受信が可能な隙間を探してメイルを打つことができるようになりました。

したがって、以前のようにメイル送受信が途切れると腹を立てることがなくなりました。私も、事情を察知して、それなりに進歩するようです。

さて、それらを済ませて、講演の準備をすることにしました。例によって、にわか仕込みの準備しかできず、「今日は、講演の際の『口上』で盛り上げるしかない」と思いながら、それでも丁寧にスライドづくりを行いました。

京都駅に着いてから、意外と暖かいのに少々驚きながら、タクシーに乗り込みました。

「京都はもっと寒いかと思っていましたが、そうでもないですね」

「そうですね。今晩あたりから寒くなるようですよ」

車は、京都駅前から銀杏の街路樹が続き、河原町、丸太町を過ぎて、松ヶ崎をめざしていました。

すでに、先発の講演が始まっており、会場の後ろの席に静かに座りました。

今日の講演の題目は、「未(利用)来材料としてのマイクロバブル」としました。急遽、括弧の用語を入れた理由は、そこが未利用資源研究センターであり、本日の会合が、その研究会だったからでした。

思えば、マイクロバブルは空気と水を使うことを主としていますので、「未利用資源」そのものです。

幸い、講演時間も80分いただきましたので、たっぷりとマイクロバブル技術の基礎と現状を語らせていただきました。時折、会場に笑いも生まれていましたので、みなさまにも好印象の内容のようでした。

講演の内容は、未利用材料としてもマイクロバブルは、未来材料として、こんなことができますよ、実際にできていますよと、その事例を紹介して、その「大切な何か」を考えていただくことを中心にしました。

講演後の懇親会の席では、みなさんが、「もう何もできないと思っていたが、やる気が出てきた」、「何か、この研究会(NPO法人に発展するようである)でやってみたい」、「応援していただけますか」など、次々に前向きの話が出てきて、ほっとしました。

また、丁度隣にいた東京のT大の先生からは、「T大で講演されたことはありますか?」といきなり尋ねられました。

「いや、まだありません。関西のO大学ならあります」と返事をしました。

そしたら、「T大での講演をお願いします」と頼まれてしまいました。

もちろん、それを了解したのですが、これを「芋づる式」とでもいうのでしょうか、そんなわけで、今度は東京でも講演をすることになりました。

帰りの新幹線の中では、さすがに、もう仕事ができなくなり、うつらうつらとしながら考え事をしていました。

懇親会の席で出された丹波の「黒ニンニク」のせいでしょうか、身体が暖かく、あまり疲れを感じていませんでした。

師走の京都駅は人で混雑していました。お土産に、いつもの「せんべい」と「生八つ橋」を買いました。

未利用材料としてのマイクロバブル、ずいぶんと、その活躍の場がありそうです。

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