本日は、周南→東京→仙台→一ノ関→一関高専→大船渡の経路で、冬の陸奥までやってきました。まことに長い冬の旅路でした。

天候は仙台まで晴れ、その後古川を過ぎた辺りで吹雪と銀世界になり、それから雪が無くなりほっとしていると、一関でまた雪が降るという具合で、その中を新幹線と車で通り抜け、大船渡までやってきました。

今夜の泊りは、いまや定宿となった「光潮荘」です。いつものように心のこもった手作り料理が出てきました。

さて、今回はT先生が一関高専から合流、車中と夕食時には、いろいろな話に弾みがつきました。世間のことから最後はマイクロバブルの研究課題に至るまで、それこそさまざまに分け入っては弾ませるわけですから、それが延々と続くことになりました。

その際、私どもは彼の専門であるバイオに関しては素人ですから、その特徴を生かして、遠慮なく分け入っては切り込み、「これはどうですか? こうしたらどうでしょうか? マイクロバブルだったら、いけそうな気がしますが、どうでしょうか?」と矢継ぎ早に尋ねて行きます。

「その場合は、生き物が壊れて死んでしまいませんか?」

「それができたらすごいですね」

「それができたら奇跡ですよ!」

こう聞くと、こちらはますます、その気になって、さらに突っ込んで尋ねていきます。

こうなるとおもしろくてわくわくし、「なんと夢のある話であろうか」とゆかいになれるのです。smile

学問、科学研究は、その境界の部分で学際的接近によって延びるとよく聞きますが、このようなバイオとマイクロバブルの専門家の間で、まずは夢を語り合う、ここにひらめきやブレイクスルーの源点があるのですね。

また、ここに、鋭く、大きな直観(intuition)が働く素地があり、ここから重要な何かが生まれてくるのではないかと思いました。

その直観の内容は、奇想天外で摩訶不思議であり、奇妙奇天烈であればあるほど、奇跡に近いことになり、非常識へと結びつくのです。

しかし、それがたとえ夢のようであっても、その固い扉を開けてみようという気持ちが湧いてきます。これが科学的センスの問題でもあり、ひらたくいえば、おもしろくてゆかいなことなのです。

「これだから止められない、とまらない!」

どこかのお菓子の宣伝文句に似ていますね。しかし、この状態が科学者、研究者としては最高に近い喜び、すなわち、セレンディピティを感じるときなのです。

このときめくような議論を通じて、ぼんやりと見えてきた、時として奇跡のように思える命題を探っていき、頭の中に刻み込む、これが楽しい作業なのです。

宿舎についてからも延々と、この議論が3時間半続き、お開きとなりました。

部屋に戻ると暖かい炬燵とヒーターが用意されていて助かりました。

しかし、窓の外では、強い風が吹いていて、それが徐々に強くなり、この宿舎が揺れるまでになっていたことから、急に明日のことが心配になっていました。

地元漁師のSさんの話によれば、風が強くて船を出すことができなかったそうで、そのことを思い出しました。

「明日は大丈夫か?」

こう思うたびに、風が強くなってきたような気分になり、加えて地震もたびたび起こり、ゆっくりと眠ることができませんでした。

「やはり、ここは被災地か、まだ、地震活動が続いている!」

「しかし、いろいろと明日のことを心配しても、どうなるものではない。明日は明日の風が吹く、どうせなら、今日のうちに風が吹いていてほしい」

最後は、こう思っていつの間にか寝ていました。

明日は、朝からNHKワールドの取材があります。この風で、どこまでできるかわかりません。

しかし、楽しみはマイクロバブル育ちのカキがさらに一段と成長を遂げていることです。前回の調査からは約2カ月弱ですから、この間にかなりの成長を遂げているような気がします。

こう思うと、不思議なもので、なんだかわくわくしてきて、風の心配は、それこそ吹き飛んでいました(つづく)。

お詫び

先日まで誤って別の記事を掲載していました.深くお詫び申し上げます.