昨夜は、雪混じりの強風が吹き荒れ、3階建ての木造宿舎が少し揺れるほどでした。それに、部屋の暖房としてはファンヒーターしかなく、これは3時間立つと消えてしまいますので、朝までつかえません。

服をきたまま、布団にもぐりこみ、風呂にも入らずに寝てしまいました。

「明日は、晴れてくれ!」

こう願いながら、朝を迎えました。風も止み、窓の外には、いつもの大船渡湾の落ち着いた日の出前の光景が見えてきました。

太陽が出てくる前は、天候が一番安定していて、いつものように静かな海がありました。

「今日は、運よく晴れそうだ、昨日のように風が吹かなければよいのだが・・・・」

いつもより、1時間早く朝食を済ませ、宿舎をでました。午後から風が吹く可能性があるので、それを回避するための早出で、雪が舞っていました。

実験地には、大船渡湾の西の端から、湾奥に向かって進み、東側に向かいますので、被災した大船渡市の中心市街地の様子を見ることができます。

前回と比較しますと、流された家屋の部分の整地がなされ、海岸沿いの道路の両脇には、満潮時の海水が入り込まないように土嚢が積まれていました。

いまだ、新しい家屋の建設はほとんどなされておらず、異様に広い整地が湾奥に向かって延々とあるのみでした。

「ここには、復興には程遠い、現実があるのみである!」

こう思いながら、カメラのシャッターを押し続けていました。

予定通りの7時半に実験地に着き、いつものようにSさんが来られていました。さっそく、本日の作業を協議し、まずは、装置の点検し、故障部分を観察することにしました。

じつは、年末から装置が故障しているという連絡が入り、それを停止していました。また、その対応をどうするかを検討してきたのですが、その原因と対応策がわからないままの現地入りでした。

そこで、実際によく見てみると、それこそ想定外の部分が破損していました。

それは、コンプレッサーから空気を送り込む際に、細いエアーチューブを差し込むコックがあり、それをヘッダー部分にねじ込んでいました。

当初は、このねじ込みの部分が破損したのかと思いましたが、実際には、この部分をしっかりねじ込むように配慮して設計したことから、まったく破損はありませんでした。

そうであれば、その上部のホースを差し込む部分かと思いました。しかし、この部分からホースが抜け落ちていることもありませんでした。

そこで、問題の発生は、そのネジ込み部分とホースの差し込み部分の中間部において、そこがすっぽりと抜けていたのです。

このような事例は初めてのことであり、この部分が、このように抜ける構造になっていたことも知りませんでした。

この抜け落ちが寒さが厳しくなって起きたことを考えますと、第1に、寒さで金属部分が収縮し、そのために、隙間ができて抜けやすくなったこと、第2に、波が常にありますので、その振動によって揺れることで、その隙間を徐々に広げていったこと、第3に、ホースの部分に海草やごみがつき、ホースを引っ張る作用が働いたことなどが指摘されました。

現場では、それこそ、予期せぬことが起こるといわれますが、このコックに、このように弱い部分があることには気づきませんでした。迂闊であり、また、ひとつ勉強させていただきました。

そこで、このエアーヘッダーをすべて点検し、この破損部分を取り返ることにし、その場で、新しいコックの手配を済ませました。

したがって、現在は、この故障部分を除いたマイクロバブル装置システムが稼働中という状態になりました(つづく)。

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夜明け前の大船渡湾(筆者撮影)