午後からは、高専での特別講演に臨みました。予想して人数よりもはるかに多い80名以上の参加者があり、会場は自然に盛り上がっていました。

特別講演の題目は、「科学(マイクロバブル)の力で取り組んだ東日本大震災復興支援」でした。

まず、講演の導入を工夫しました。いつも、これには知恵を絞るのですが、これがうまくいくか、いかないかは、その後の講演の進行に重要な影響を与えます。

それゆえ、今回はどうするか、あれこれ考えた末に、大分高専卒業生の三浦望さんを取り上げるというアイデアが浮かんできました。

三浦さんは、すぐれた国際活動を行ったことで「土木教育賞」を受けられた方です。彼女の受賞講演における堂々とした態度に感動したことを告げ、彼女の何が素晴らしかったのかを解明していきました。

彼女の場合、学業成績においては、そんなに目立つ方ではなく、K教授によれば、最初の彼女を知ったのは、別府大分間の海岸沿いの道路におけるボランティアのゴミ拾い立ったそうです。

ここに彼女が二人で参加し、積極的な活動ぶりが目に留まりました。それから、タイに贈るミシン運動に参加し、ここで語学の大切さを知ります。

なかなかうまくしゃべれず、泣きながら英語の勉強に取り組まれたようです。しかし、ミシンを修繕して送り、現地で、その使い方を指導するのですから、これは自信を持って臨まないとできる仕事ではありません。

この仕事の達成が高専に帰ってから、徐々に花開き、みごとに成長しながら変身を遂げていったのです。

しかも、彼女の場合は、その国際活動のリーダーになっていくわけですから、自分をますます洗練させる必要があり、そのこと自身が最初は大変であっても、徐々に楽しくなっていったのだと思います。

こうして考えますと、彼女の人間力が鍛えられ、同時に高専での勉学においても向上が成し遂げられ、それらがうまく結合、融合して、彼女の人間形成、技術者形成が成し遂げられていったのだと思います。

この彼女の成長の過程を考察しているうちに、高専というところは、この技術力と人間力を実践的に養成していくのに最高の教育の場であることに気付きました。

ですから、講演の冒頭に、彼女が土木教育賞を受けたときの新聞記事の写真を示し、次のように語りかけました。

「みなさんの前には、技術力と人間力を最高に鍛え、洗練させた先輩がいます。その方は、三浦望さんです」

こう言って、彼女の写真を大きく見せると、目の前の学生たちの目が輝き、表情が変わりました。

そして、次のように問題を投げかけました。

「この三浦さんは、みなさんが今いる高専で、どのように育っていったのでしょうか? 私はそのことにとても興味があります。それはみなさんも同じことだと思います」

ますます、聞いているみなさんの目が輝いてきたようでした(つづく)。

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