東日本大震災支援プログラム大船渡P

 2011年3月11日、あの未曾有の東日本大震災と津波が起こりました。

信じがたい光景が次々にテレビや新聞を通じて目の前に迫ってきました。これまで築かれてきた常識や概念の何もかもが、一瞬にして崩れ去った瞬間でした。

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津波で破棄された大船渡市の中心市街地(筆者撮影、8月21日)


この大災禍に、どう立ち向かうかを必死で考えている最中に、(独)科学技術振興機構「東日本大震災支援プログラム」の公募があることを知りました。

早速、それに申請したところ、幸いにも124件中の6件の採択のなかに入ることができました。

因みに、その採択金額は910万円でした。後で聞くところによると、閉鎖海域の蘇生と水産養殖の復興に関するテーマの申請は、ほとんどなかったようでした。

こうして、「大型マイクロバブル発生装置による閉鎖海域の水質浄化と水産養殖の復興」を主題にして、文字通り、マイクロバブル技術を用いて大災禍の海に立ち向かうことになりました。

幸いにも、海の浄化と水産養殖の改善は、マイクロバブルが得意とする分野でしたので、過去の実績を踏まえて計画の周到な具体化が図られました。

周知のように、被災地では交通が寸断され、電話も通じない、住むところもなく、電気も来ていない、さらには、船や筏も流され、タネガキもわずかしかないという、最悪の状態が出現していました。

当然のことながら、この大災禍の復興支援に容易でなく想像を絶するような困難が待ち受けていました。

この深くて重い困難をマイクロバブル技術の力で「何とか克服しよう、復興させよう」という試みですから全力を注ぎ込むことになりました。

そこで、可能な限り大量のマイクロバブルを、どのように現地大船渡湾に供給できるようにするか、これが最大の課題だと思いました。

そのためには、マイクロバブル発生装置を小型化し、同時に、軽量化、コンパクト化、さらには少エネルギー化も図ることにしました。

そして、最終的に104機という多数のマイクロバブル発生装置を合計で5.5kWの低電力で配備することを決め、文字通り、国内外初の大規模実験を行うことにしました(広島での実験の約350倍の規模)。

その結果、このマイクロバブルの大量供給が効を奏したのでしょうか、カキがすくすくと成長し始め、真っ白でふくよかな、そして甘くて美味しいカキ(「バージンオイスター(無放卵カキ)」と呼ばれている)を誕生させることができました

(夏場に産卵はするものの、マイクロバブルによって成長を優先させるために、その産卵部分が身に変わり、放卵しないことで大きく成長したカキになる)。

また、このカキの生育によって養殖期間の大幅短縮(2倍以上、生産額の増大も2倍以上になる)と新しいカキブランドの創出が可能となり、それが地元漁師のみなさんに役立つとともに、小さくない希望を灯すことになりました。

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バージンオイスターの誕生(撮影、YO氏、2011年11月14日)

つづく