24日、全校の学生教員を前にして述べた「別れのメッセージ」の全文です。以下、紹介させていただきます。

いよいよ、お別れする時がやってきました。

この壇上にくると、今から36年前の若き日のことを思い出します。私は、沖縄の琉球大学から赴任しました。この場で、新任の挨拶をするときに、「真っ赤なデイゴの花が咲いている沖縄からやってきました」といったことを覚えています。

このとき、本校は創立3年目でした。研究室や実験室には何もなく、ガラガラの状態でした。丁度、専門棟ができていましたが、周囲の道はぬかるんでいました。この体育館もありませんでした。

しかし、若き高専生、みなさんの先輩たちは、みな元気で「なにかやるぞ」という希望に満ち溢れていました。

この元気な高専生とともに、36年間の格闘が開始されました。それこそ、地を這うような思いで毎日を過ごしてきました。

2期生の本名君と夜中に実験を行っていて、素晴らしい現象を見つけることができて、それが、当時の世界最先端の現象であることを知り、幸運がやってきたと思いました。

この先輩のおかげで、自前の研究をすることができるようになり、私を含めて3人の博士論文を書くことができました。

それから、高専教員としての後半においては、マイクロバブルとともに過ごすことができました。

この高専で生まれたマイクロバブル技術が、いまや国内外で大きく育ち、花開こうとしています。

本校の教員として、この技術の発展に貢献できたことを大変うれしく、光栄に思っています。

こうして、高専での36年間を振り返りますと、真に、教え、教えられの連続で、たくさんのことを学ばせていただくとともに、大いに鍛えられました。

古代ローマに、ユリウス・カエサルという偉人がいました。彼のすばらしさは、兵隊や兵器の数が少なくても、常に現場でアイデアを出し、勝ち続けることができたことでした。

どんな不利な条件でも、彼は、それを有利に変えることができたのでした。

私が高専で学んだ最大の教訓は、この不利を乗り越えて有利にするということでした。

今日の高専は、大学や高校にはない、素晴らしい教育研究であり、そのことは、みなさんが行う日々の実績で証明されています。

どうか、どんな不利の状況になっても、カエサルのように、アイデアでたくましく有利にすることができる高専生に成長してください。

何事も、粘り強く考え、素晴らしい「知の力」を発揮できる学生に成長してください。

すでに、みなさんは、カエサルのように、高専というルビコン川を渡り始めています。賽は投げられています。

私も、本日ここに、この愛しき本校から旅立ちます。カエサルの言葉を借りれば、「諸君、賽は投げられた!」という決心をさせていただいたことになります。

これからも、高専の全国的な発展とともに、そして本高専から生まれたマイクロバブル技術をますます発展させるために、全力を注がせていただくことを誓って別れの挨拶とさせていただきます。

36年間という長い間、どうもありがとうございました。

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