心が満たされる島」づくりの基本は教育にある、これが総合振興計画において最初に示されたことです。

優れた資質と感性を有する子供たちを育て、青年から大人へと立派に成長していくことは、とても大切なことです。

豊かな島の自然と歴史を生かした、そして、優れた人格形成の教育方法を持続的に開発していくことによって、人々の心が満たされる教育も実現されていくのだと思います。

また、この教育は、子どもから青年期に留まるものではなく、大人化していく若者から高齢者にまで通用する教育の開発がなされることが重要です。

その意味で、教育はすべて「手づくり」です。

さて、第2の島づくりの理念が、この「手づくりのある島」です。「手づくり」に相反する用語は、「機械工業」です。

歴史的には、最初はみな「手づくり」であり、次に「手工業」へと進み、今日の「機械工業」に至っています。この工業化によって物の生産量が飛躍的に増大し、便利になっていきました。

この機械工業の集積地が都市であり、そこで安くて便利な商品が大量生産され、それらを私たちも買うことができるようになりました。

テレビや冷蔵庫、洗濯機やパソコンがその典型であり、これらが手作り商品群を駆逐していきました。

ですから、手づくりで商品を造るのであれば、その機械工業によって造られた安くて便利な商品よりも、さらに上位に相当することを考えていく必要があります。

すなわち、せっかくの手づくり商品を生かすことができる高度な「知恵と工夫」が必要になります。

この知恵と工夫を生み出し、状況を打開する際に、機械工業を利用することも重要なことです。

この島には、早くから急速冷凍技術を可能とし、冷凍による細胞組織の破壊がない、「CAS」と呼ばれる技術の導入がなされています。

この導入によって、海産物を中心に冷凍保存や販売が可能となり、離島としての問題解決によい結果を生み出すことができました。

これと同じように、手づくりにおいても、ハイテクを適用し、地域産業資源のよさを最高度に生かせる知恵と工夫を発揮させることで、手づくり商品の価値を高めることが重要であるように思われます。

つづく

 

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隠岐の島A町の海(筆者撮影)