大分県は,わが国屈指の温泉どころであり,この活用は,これまでにおいても重要な観光資源となってきました.
しかし,この構図が徐々に変化を遂げるようになりました.かつての温泉観光地といえば,すぐに別府を思い浮かべることができます.
高崎山の猿,地獄めぐり,砂湯,奥別府での湯治など,ここは戦後間もなくから温泉で開けたところでした.
近年,かつての観光・湯治客は,別府の奥座敷であった湯布院や黒河温泉などに集まるようになり,かつての別府のにぎわいはしだいに薄れていきました.
また,1980年から2011年の約30年において,大分県全体では4万人減少し,そのうちの1.5万人(38%)が別府市であることから,もっとも人口減が最も顕著な自治体のひとつとなっています.
さて,全国的には,この別府にも象徴的に出現しているように,旅行者の指向は,「観光から健康・癒し」へと変化し,温泉も,文字通り,観光温泉から健康温泉へと転換しようとしています.
もともと,温泉には,健康促進の効果がありますが,それは温泉水の成分にも依存することから,この問題での差別化もなされています.
周知のように,全国には酸性温泉と呼ばれる名湯は5か所しかなく,残りのほとんどはアルカリ単純温泉なのです.
また,同じアルカリ温泉においても,そのアルカリ度やそこに含まれる成分によって温泉水の優位さが決まってきます.
たとえば,山口県の俵山温泉や長野県の昼神温泉では,温泉水のアルカリ度が高く(pH(水素イオン濃度が10弱),これが長い間,よい温泉として根強い評価を受ける原因となっています.
そして,これらの温泉にマイクロバブルが導入され,高齢者が元気になるという現象が起きました.
とくに,昼神温泉においては,70歳以上の村民の入浴無料化が,それを促進させ,元気高齢者づくりが進展したことを述べてきました.
体力も,健康においても下り坂に向かう高齢者にとっては,それを食い止め,逆に元気化,県健康化に向かうことは非常に大切なことであり,それが,「よい温泉」+「マイクロバブル」で促進されることになったことが注目されています.
この教訓を生かし,元気高齢者を増やし,まず,高齢者が活躍できる健康の基盤形成が,少なくない自治体においても重要な課題になってきているのだと思います.
この基盤形成によって,高齢者の知恵と経験を生かすことで,地域起こしの主翼のひとつを担っていただくことが非常に重要です.
自治体にとっても,高齢者の医療・保険費を減らしながら,高齢者に活躍していただくことが重要な施策の柱であり,この課題をより本格的に研究することが大切な時代を迎えているのだと思います.
同時に,農林水産などの地域産業資源を最高度に生かす技術の適用と実践も必要になります.
すなわち,地域の高齢者を元気すると同時に,地域産業資源を生かすことで,都市と競争しても十分に太刀打ちできる地場産業を育てる,これには,最高水準に近い新たな技術を導入し,それを駆使できるようになるしかありません.
この未来技術のひとつがマイクロバブル技術であり,この適用を本格的に追及する時代が来ているように思います.
つづく
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