先日は,ご返事をいただき,ありがとうございました.おかげで,私もようやく落ち着いて物事を考えられるようになってきました.

今思えば,相当無理をして生きていたような気がします.

おかげで長い間に蓄積された心労が,この鳥が鳴き,蛙の声が響く自然のなかで,それこそ薄皮が,一枚,また一枚と,剥(は)がれていくように癒されているようです.

ところで,先月の9日,国家戦略会議に民間議員5名による「次世代の育成と活躍できる社会の形成に向けて」という文書が提出されました.

これを受け,議長の野田首相が,担当大臣である平野文部科学省大臣に検討を要請したそうですので,これが高専関係者の関心を集めているようです.

なぜなら,この文書のなかで,「成長産業に対応して高専を増設する」が示されているからです.

この意図がどこにあるのか,その意味は定かではありませんが,以下の意味において大変重要な問題ではないかと思っています.

①「高専が成長産業に対応する」ということについてです.

ここで,成長産業とは何か,まず,これが問題になります.政府の「新成長戦略」によれば,その成長分野は,次の4つです.

1)環境・エネルギー

2)健康(医療・介護)

3)アジア

4)観光・地域活性化

これらと高専がどうかかわるか,真剣な検討が必要となるでしょう.

②これまでの流れは,縮小を基本にした統合再編ですから,この流れとはまったく逆になります.

もうひとつは,既存の学科の分野から,成長の芽を育てるという課題があります.それらをどう整理統合して,大きな流れに導いていくのか,この検討も重要なことといえます.

この問題を考える際に,もうひとつ重要なことは,高専生の資質問題があります.これまではあまり知られていませんでしたが,同世代で比較すると,その資質において非常に優れている,これが私の結論です.

これは決して主観的判断で下している結論ではなく,その実績において明らかであり,そのことの社会的認知が徐々に広がってきたことが,上記の提言にも影響しているのではないかと思います.

もう一つは,高専の置かれている地理的条件の問題があります.高専のほとんどは,県庁所在地にはなく,その県では二番手,三番手の地方都市に設立されています.

場所によっては,高専が唯一の高等教育機関であることもあります.また,大学があっても,文化系や人文系が多く,地方における理工系高等教育機関としての高専の占める度合いは,地方の国立大学とほぼ同程度といえます.

また,その地方において高専の方がきめ細かく動けることもあって,かえって評判がよいこともあります.

ですから,上記の国家戦略会議に提出された文書においても,「地域に根ざした高専づくり」の問題において,高専には重要な役割があるという指摘がなされているのです.

こうなると,「国家を建て直す」という意味において,高専を重視するということは,ある意味で当然のことであり,非常に重要なことだといえます.

私はかねてから,当面,現在の51を2倍にする必要があると思い,主張もしてきました.

また,地方にある高校も,その高専化めざすのがよいと思っています.まずは,高校と高専をサテライト方式で結び合わせ,相互の交流をもっと活発にすることが重要です.

また,その交流と相互乗り入れに,政府文部科学省の支援が重要ではないかと思っています.

すなわち,高専と高校の連携を網の目のように張り巡らし,上記の新戦略分野の観光・地域活性化の分野で活用できるようにすることが大切だと思います.

地方で若い方々が,最新の科学と技術で地域起こしを率先して行う,これほど地域起こしにおいてみなさんが望まれている「好ましい例」はありません.

どうでしょうか.高専の増設問題には,このような課題と関係していますので,その掘り起こしを行いながら,十分な検討が必要であるように思われます.

とりあえず,今日は,この辺で筆を置きますが,先生方のお考えをお聞かせください.

つづく