X&Y先生,先日の便りの続きです.今回からZ先生も,その宛先に加えさせていただくことにしましたので,よろしくお願いいたします.
さて,本日の日経新聞の一面には,パナソニックが本社社員を7000人減らして半分にするという記事がありました(内訳は,事務部門4000人,研究開発部門2000人,生産技術部門1000人).
一連の薄型テレビでの販売競争力の低下,工場の閉鎖の影響が,ここまできたかという思いを強めています.
また,この不振と人員削減は,他の大手電気メーカーにも及んでいますので,大変深刻な事態に陥っていることには間違いがありません.
さらに,この不振は半導体業界でも起きています.
5月26日の日経新聞の1面トップには,「ルネサス最大1.4万人削減」という見出しが掲載され,主力の鶴岡工場(山形県)を台湾企業に売り渡すことを決めたことが報じられています.
すでに,DRAM大手のエルピーダメモリが法的整理に追い込まれ,その買収交渉がなされているとのことで,日本の半導体業界の苦境が一段と深まってきています.
これらの半導体業界の不振は,上記の薄型テレビ産業の衰退と結びついており,負の連鎖が一層加速される事態になっているのではないでしょうか.
安くて良い材料や部品を確保し,大型組み立て装置を手に入れて,誰でも高級の薄型テレビを安く買うことができるようになり,上記の大手電機メーカーは,その基本戦略において大きな転換を迫られているようです.
また,この問題は,日本の「ものづくりの危機」としても把握され,そこからどう抜け出すかが問題となっています.
当然のことながら,このような深刻な状況は,高専にも影響を与えてきますね.
これまで日本を支えてきた製造業が,このような深刻な事態を迎えているのですから,それを打開する「ものづくり」,「人材づくり」の方法が真に問われているおだと思います.
また,先日も紹介させていただいたように,成長産業に対応して高専を増設するという産業界の提言も示されていますので,はたして,高専は,この局面をどう乗り越えていくのでしょうか.
その大事なところが問われ,試されるのではないでしょうか.
それから,まず,このような深刻な事態を高専教員が認識しているかどうか,これについても心配です.
リアルな危機感がないと,戦争においては敗北,技術においては遅れ,そしてヒトにおいては未成長が発生します.
そのことを理解しないまま,ただ,目先のことだけに関心を持ち,狭い職場に留まっていては,それは鎖国状態の幕府や諸藩と同じではないでしょうか.
大きな変わり目を日本中で迎え,そのなかの高専においても,そのことが問われている,これが現在に状況と思われますが,いかがでしょうか.
忌憚のない,ご意見をいただければ幸いです.
敬具
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