こちらに来て、少し時間ができたときに料理に挑戦してみようと思うようになりました。
これは私にとってかなり珍しい特別のことです。山口にいた時は、ときたま自分で作ることがありましたが、それがカレーライスでした。
これについては、かなりの年季はありましたが、肝心の料理の腕はあまり進歩していませんでした。
そこで、私流で、そのカレーライスづくりに取り組んだところ、これが真に評判がよく、それで気をよくして毎週のように、このカレーづくりを行うようになりました。
若いころに、テレビの料理番組でカレーの作り方を見たことがあり、その時、カレーの味は「玉ねぎで決まる」と教えられました。
そこで大量の玉ねぎを用います。これを小さくみじん切りして、それを鍋に入れ弱火で温めます。玉ねぎがきつね色になってドロドロになるまで丹念に煮ますが、これがなかなか根気がいる作業といえます。
国東では、小ぶりの新玉ねぎが安く買えますので、先日のカレーには約20個使いました。
次はニンジンです。これは玉ねぎとの相性がよく、この両者でスープをつくる料理法をテレビで学んだことがあります。
そこで角切りのニンジンをドロドロになった玉ねぎのなかに入れて煮るのが第二段階の作業でした。
しかし、この作業は時間もかかり、手間も大変なので、これを何とか改善できないかと思っていたところ、大変便利なものがありました。
それは、ドイツブラウン社のハンディーミキサーで、これを用いて玉ねぎとニンジンを一気に潰して粒状にすることができました。
これで大幅な時間短縮と手間の省略が可能となり、しかも、よい味が出せるようになり、一挙三得になりました。
後は、このペースと状になった玉ねぎとニンジンを弱火で温めて色が変わるのを待つだけでした。
その間、新鮮な野菜を入れて野菜カレーのベースをより豊かにしていきます。最近は、ナスビが新鮮で美味しいので、これも角切りにして大量に入れることにしています。
このナスビの前は、ダイコンでしたが、これもなかなかの評判でした。
そして仕上げは水です。特別に作った水を入れ、これで、さらに美味しさを引き出します。
後は、好みに応じて肉類や海産物を入れて特色を出します。また、カレーのルーは、市販の安いものを用いていますが、これでも十分な味になります。
さて、この特性カレーの評判ですが、まず家族の中では、みんなが朝からカレーを食べるようになることで、その高さが明らかになります。
家族だけでなく、近所や知り合いに食べていただくとそこから評判の輪が広がっているようです。
なかでも、近くに住んでいる姉から次のような評判を聞きました。どうやら、姉のところにおすそ分けしたカレーを、さらにおすそ分けしたそうです。
「これは、教授の弟が作ったカレーです。美味しいから食べてみてください」
なにせ、ここは田舎ですから、このような人物が作ったカレーというだけで珍しい話になり、そして実際に食べてみて、さらに驚くというような類のことが起こっているようです。
その姉のところに、「元気でいますか?」と尋ねてみると、どうやら、扱けて肩の下を強打したらしく、簡単に起き上がれなくなっていました。
みたところ、ほとんど朝から何も食べていなかったようで、元気がなく、「これは大変だ!」と思って、その夕方に再度、このカレーを持って訪ねました。
「ーーー カレーを食べる元気があるかどうか」
少々心配しながらでしたが、姉は、とても喜んで、すぐに一口カレーを食べました。それで終わりかと思ったら、「美味しい、美味しい」を連発しながら、とうとう一皿をぺろりと食べてしまいました。
「ーーー 元気がなかったのは、何も食べていなかったからか?」
「これで元気になれるよ。よかったね!」
姉もにっこり頷いていました。
帰りの車中で、このカレーの威力に改めて感心しました。
「ーーー このカレーには、ものすごい力、カレー力があった!」
そろそろ、鍋いっぱい作っていたカレーが無くなるころです。
「ーーー 今度は、どんな工夫をしようか? どこのカレー粉にしようか?」
つづく
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