日本高専学会年会2日目
なれないベッドだったからでしょうか、それとも次の講演の準備があったからでしょうか。朝早く目が覚め、例によって講演発表のスライド作りを行いました。
本日の講演発表の題目は、「マイクロバブルによる東日本大震災復興支援」でした。やや時間経過がありましたが、昨年の成果について報告させていただきました。
今思うに、この東日本大震災支援の取り組みは、通常のレベルの問題ではなかったように思われます。
しかし、被災者のみなさんにとっては、これをはるかに超えた次元の大変さや困難があり、それこそ足元にも及びませんので、そのことを踏まえておく必要があります。
私の講演については、数件の積極的な質問がありました。
その第1は、マイクロバブルを大量に発生させて与えすぎる、その結果として環境に悪い影響を与えることはないかという疑問です。
これは、最近よく尋ねられることであり、次のように答えておきました。
「マイクロバブルは、『生物適応物質』としての水と空気のみで形成されますので、それらを大量に入れても何も問題は起こりません。
マイクロバブルは環境が悪化している水域に供給するものですから、それによって環境がよくなれば、その時点で供給を制御すればよいと考えています。
水と空気を用いているかぎり、安全であり、長い間の実践において、悪い影響が出たことは一度もありません」
第2は、生物活性のメカニズムについて考察された研究例はあるかでした。これについては、生物固有の事情もあることから、それをうまく考察して説明した事例はあまりなく、これからの課題であると返事をしておきました。
第3は、残されたカキはどうなりましたかという質問でした。また、第4としては、マイクロバブルの広がり範囲についても質問を受けました。これらについては、カキが残されたままであること、そして200mから300mの影響範囲を観察したことを報告させていただきました。
また、全体的な問題としては、東日本大震災の問題は可能な限り、その取り組みに関する情報を明らかにし、みなさんによく考えていただくことが重要であると思います。
大船渡の丘の上にあるお寺の木村住職が、震災直後に、「震災のことを考える人と、そうでない人が別れてきている」という重要な指摘をされていました。
1年半が経過した現時点では、ますます、その分化が顕著になってきているのではないでしょうか。
最後に、もっと本格的で被災された現地の生活と産業に役立つプログラムをしめして、その生活再建、産業再生のために、今後とも尽力をさせていただきたい旨の発言を行い、私の講演と質疑応答の締めくくりとさせていただきました。
この私が参加したセッションは、地域連携に関するものでした。これらの講演発表においては、科学の出前授業や出前実験に関する取り組みが紹介されていました。
そのなかで、ある高専の発表において、「創造力ある実践的な技術者の養成」というミッションを掲げていることが示され、その下で理科の出前授業をしているとのことでした。
そこで、この発表者に、その「創造力とは何ですか、なにかきちんとした定義をなされているのでしょうか?」
こう尋ねると、次のような返事がありました。
「学校としては、明確な定義をしていません。したがって、どのようなものかを具体的に返事をすることができません。これについては、それぞれの解釈と判断で実践されているようです」
学校としての看板目標において、このような未定義のままの状態が存在することについては、少なくない疑問を覚えました。
言葉では、明確に示しながらも、その意味については明確な定義がない、これは、国語的に、そして社会的によいのかどうか、大いに検討の余地のあることではないかと思いました。
しかも、これは、この高専に限ることではないことなので、余計にも、そのことの重大性を再認識させていただいたしだいです。
吉田拓郎の歌のなかに、「・・・・今日もひらひら、明日もひらひら、日本中ひらひら」というフレーズがありますが、この創造力の教育目標に関しては、高専中が「ひらひら」しているのではないでしょうか?
つづく
筆者撮影
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