翌朝は、7時半に民宿を出ました。午前中で仕事のすべてを終えるための早出でした。

まず、3つ目である水槽用マイクロバブル発生装置を組み立てに行きました。

これは、ステンレス製の新型改良装置であり、小型のマイクロバブル発生装置が4機配備されたもので、従来よりも小型化、コンパクト化が、さらに進展させられていました。

新しい現場を迎える度に、そこにふさわしい形態の改良を重ねて進化させる、これが非常に大切なことであり、そうでないとすぐに淘汰される、このような市場が形成されています。

これは、挙句の果てには安売り競争でしか対応できない、そして消費者も、それに追随してしまうことになります。

マイクロバブルが出でればよい、マイクロバブルで白くなればよい、このような発想の装置がまかり通るのは、それが購入される前までのことであり、それ以降は、そのマイクロバブル作用と効果が真に問われることになります。

この場合、魚介類の生物活性や成長促進が問われるのであって、それが実現されない限り、単なる泡出し装置にすぎません。

消費者のみなさんは、その事をよく理解されて装置を購入することが大切です。よく実績を確かめられてから「賢い購入」をなされることが重要です。

さて、水槽用新型装置が完成し、その試運転が始まりました。そのマイクロバブルの発生状況を観察していると、周囲に現場で働いている方々が集まってきました。

「これが、マイクロバブルです。やや白っぽい小さな泡が発生しています。よくご覧ください。よく見ないと見えないほどの小ささです。

本当のマイクロバブルは、強い光を当てないとよくみえないほどの小さな気泡なのです。このマイクロバブルは水中で小さくなって、最終的には溶けてなくなっていきます」

「これがマイクロバブルですか。なんとなく気持ちがよさそう」

「手を入れてみてください。手がきれいなりますよ!」

「ついでに顔もつけたらどうかね」

「顔がきれいになります?」

「はい、なりますよ。若返った顔になりますよ!そうですね、若返った時のような血液の流れができますので、顔も違ってきます」

「どのくらい若返るのですか?」

「血液の流れで判断しますと30歳ぐらいでしょうか」

「30歳だと、私、赤ちゃんになってしまう」

こういいながら、とてもうれしそうに水槽内のマイクロバブルを手でさわっていました。

「いっそのこと、このなかにざぶんと入ってしまったらどうかね」

「はい、そのようなことをなされた漁師さんもおられましたよ」

このような楽しい会話が続いてみなさんが打ち解けた後に、マイクロバブルの物理化学的特徴と生物活性機能について、むずかしいことをやさしく説明させていただきました。

これは、素人のみなさんが、マイクロバブルのことを体験的に理解される瞬間であり、これを契機にマイクロバブルが地域に根を下ろしていく過程の始まりでもありました。

もちろん、マイクロバブル博士としては、最も喜びを感じる瞬間のひとつでもありました。

前日も含めて、この装置の新しい使用方法を示しておきましたので、これから、その適用が始まることになります。

これには、非常に重要なことが含まれていますので、その進展に伴って、関係者のみなさんがマイクロバブルの威力を認識していくことになるでしょう。

なお、この説明においては、先日のK1さんとの共同研究「タコ飯」の成果を引用させていただきました。

これが非常にわかりやすい説明方法であると思ったからで、案の定、その通りの結果となりました。

「ーーー これは効きましたよ!これは・・・・・」

K1さん、早くも共同研究の成果が出始めていますよ。ありがとうございました。

つづく


Y-5-3

物干しさおにできた水滴、筆者撮影。