2つの気付

 映画「7人の侍」を見直して、次の2つのことに気付きました。

 その一つは、その侍たちの顔が輝いて見えたことです。

 先日、テレビのアーカイブ番組を拝聴していたら、映画評論家の淀川長治さんが、こういっていました。

 「『7人の侍』は顔、顔がいい!」
 とくに印象深かったのは、戦いを準備するときの侍たちの顔は、なぜか生き生きとしており、未熟な「若い侍」を除いては、これから勝てる戦をしよう、そのように語っているかの表情をしていました。

 それは、作戦会議において必ず勝てることを踏まえた結果がゆえのことであろうと推測しました。

 加えて、菊千代が農民たちを教育したことは名演技であり、熱が籠ってユーモラスでもありました。

 彼の内面からは、「俺でも立派に訓練できる」という思いが湧き出ていました。

リーダー島田の言葉

   もう一つは、丁寧に描いてきた前半の最後において、本ブログにもよく登場するK先生の好きなシーンです。    

 己の欲のために、分裂行動を取ろうとする農民に、リーダーの島田(志村喬)が初めて刀を抜いて走り出します。

 「個人の欲を優先させて抜け駆けを行うことは許さない」という、リーダーとしての強い意思を示すシーンでした。

 これが、前半の最後をぐっと引きしめました。

 この農民たちには、たとえ自分の家を守ることができても、そのときには、村全体がやられてしまい、最後には、その自分の家も壊され、殺される、ということを真に理解させる必要がありました。              

 そのことを刀を抜いて諭したリーダーの言動には迫力がありました。

(つづく)。

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発芽