マイクロバブルのテスト装置がK家に届き、新たな風呂生活が始まりました。ゲゲ

ゲの鬼太郎や鼠男など妖怪が好きなKさんは、怖いもの見たさの、あのゾクゾクと

いう気持ちになって最初のお風呂に入りました。しかし何も感じません。「あれぇ!

こんなものか」と思いながら、しばらくお湯に浸かっていましたが、やはり何ともあり

ません。期待が大きすぎたのです。文科系のKさんにとって、このような風呂の入り

方は初めてであり、無理もありません。

少し落ち着いて、お湯の表面に垢が浮いていることに気付きました。今日は一番

風呂、最初に入った時には浮いていなかったので、これは明らかに自分の体の垢

に違いない、こう思ようになりました。

そう思っているうちに、浮いてくるは浮いてくるは、おびただしい垢の量です。ま

ず、この垢の量に「吃驚(びっくり)」しました(かれは、この「吃驚現象」が好きで、

この言葉をよく用います)。

「ということは、これは、おれの垢ということか、これが浮いてくるということは、そ

れだけ身体がきれいになっているということか。そうであれば、石鹸で身体を洗う必

要がない。これはすごいことだ」

このように湯船で思いをめぐらしているうちに、額に汗がにじむようになりました。

「あれぇ!汗が出始めた。風呂の温度は低めに設定していたはずだが、先

生からは、たしか39度ぐらいでゆっくり入ってくださいといっていたわれていた」

しかし、39度といえば、風邪を引くのではないかと心配するほどの温度ではない

か、「ものは試し」とはいえ、「これでは低すぎるのかな」と、後悔し始めていた矢先

に、汗が出始めたのでした。

ここでまた、Kさんは「吃驚」しました。出始めた汗が止まらなかったからです。

「いつもよりもずいぶん低い温度で入っているのに、この汗は何だ!そんなはず

はない」

といいかけて、マイクロバブルの風呂に入っていることを再認識したのです。

「垢がおびただしく浮いて、そして、しばらくすると身体中から汗が出てくる」

これがマイクロバブルの効果か、最初は何にも感じないと思っていたのに、Kさん

の意識に大きな変化が起こりました。

「これがマイクロバブルなのか!」

そう思うと、すぐに奥さんに報告したくなるKさんですから、今度は、すぐに風呂か

ら出ようと思いましたが、「いや、待てよ、もう少し確かめてから」という反動も生ま

れ、「風呂を出る出ない」の逡巡が生まれてきました。

「どうしよう、早く出ようか、いや、もう少しだけ」

汗はどんどん出てきて、文字通り「汗だくだく」の状態になりました。

結局、その逡巡がしばらく続き、そのために少し頭の中が混乱した状態で、Kさ

んは風呂から出ました。

そして、その「おっかな吃驚」の体験を、奥さんに逐一話し始めました。

風呂から出た後も、汗がどんどん出てきていました。

J02283031